...その人の爲とも自分の爲ともなく淋しく思ふ事もある――人と人との間の超え難き隔たりに就いての悲しみと言はうか...
石川啄木 「吉井君の歌」
...すでに幽明隔たりある人に会うた...
伊藤左千夫 「去年」
...時には三丁と四丁の隔たりはあっても同じ田畝に...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...数十丁隔たりたる山の半腹に火の玉がかかっている...
井上円了 「おばけの正体」
...実は到底踰(こ)えることの出来ない隔たりがある...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...考え方によほどな隔たりがある...
寺田寅彦 「映画芸術」
...遠い隔たりがある...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...という先進国の形態にはなお大きな隔たりがあった...
中井正一 「調査機関」
...現在の寓居より四五丁隔たりし松林の間なる古き邸宅なり...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...遊行上人の泊っていた一間とは襖(ふすま)一重の隔たりでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...芒のさわ/\と靡きたるを見てよめる大ふねの舳の松の野の穗芒は陵のへに靡びきあへるかも百舌鳥の耳原の中の陵といふを拜みて和泉は百舌鳥の耳原耳原の陵のうへにしげる杉の木すこし隔たりたるみなみの陵といふを拜みまつるに...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...世に謂(い)う継(まま)しい仲でありながら何の隔たりもありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...距離・隔たりは、あらゆる観念の勢いを減少させることは確かである...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...この高岡の町から東南の方二里位も隔たりて新居(にい)の浜があり...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...自転車までの短かい隔たりを走り尽して...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「墓地へゆく道」
...ずっと以前から性格の相違が原因になったわずかな感情の隔たりはあったし...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...隔たりのない総ての親密さが私達親子の上にあった...
室生犀星 「幼年時代」
...お玉は父親との隔たりの大きくなるような不快を忍んで...
森鴎外 「雁」
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