...怨(うら)む気色(けしき)さえも見せないのです...
芥川龍之介 「杜子春」
...それが三声(みこえ)めになると、泣くような、怨むような、呻吟(うめ)くような、苦(くるし)み(もが)くかと思う意味が明(あきら)かに籠(こも)って来て、新(あた)らしくまた耳を劈(つんざ)く……「見よう、」年少(わか)くて屈竟(くっきょう)なその客は、身震いして、すっくと立って、内中(うちじゅう)で止めるのも肯(き)かないで、タン、ド、ドン! とその、其処の蔀(しとみ)を開けた...
泉鏡花 「霰ふる」
...平素忘れられてることに対する、淋しい怨恨、悲しい復讐、でもあろうか...
豊島与志雄 「復讐」
...一世(せい)の怨(うらみ)を買って...
永井荷風 「枇杷の花」
...恩怨を決死の格闘に置くの約束が果されようとしているのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...造物主をわしが怨んどるとでも思っていなさるのじゃろう...
中島敦 「悟浄出世」
...その上怨みある万三郎の羽織の紐を千切って死体の手に握らせるような小細工までしたのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...商賣柄人樣に怨(うら)まれてゐるからだと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「私が一時お秀さんを怨んだことも本當ですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ひどく血で汚れましたが――」「若主人はお前の父親を怨んでゐるやうなことはなかつたのか」「飛んでもない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...若旦那の久太郎が歸つて行つた時刻は?」「かれこれ亥刻(よつ)(十時)でございました」「若旦那はひどく父親を怨んで居たことだらうな」「いえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この怨み骨髓(こつずゐ)に徹(てつ)して忘れる隙もない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...二十年來の怨敵(をんてき)...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「私(わし)の父親の惣五郎(そうごろう)は、水野様御先代が肥前唐津に御在城の頃、御出入をしたことのある身分だ、水野様には海山の御恩こそあれ、毛程の怨も無い、今度も鳥居甲斐守の御指金(おさしがね)で危く打首にもなるところを、殿様の御言葉一つで助かった私(わし)だ、――神様のような越前守様を、夢にも怨んではならぬ、お前の姉の仇は鳥居甲斐守様だ――」「父さん」「お豊お詫を申上げろ、要次郎も降りて来い、何んと言う無法なことをするのだ」老人はお豊の頭を大地に押えて、樹の上の要次郎を叱り飛ばしたのでした...
野村胡堂 「礫心中」
...誰を怨む筋も無かったのです...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...母親の怨み言もきらいであった...
宮本百合子 「一太と母」
...福太郎は自分が源次に怨まれている原因が...
夢野久作 「斜坑」
...怨敵(おんてき)家康(いえやす)に一矢(し)をむくいたのちに死ぬとも...
吉川英治 「神州天馬侠」
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