...彼女は矢先を変えて、新しいプロジェクトに着手した...
...矢先に挟まったかけらが痛かった...
...矢先が尖っているナイフは危険だ...
...矢先をついた発言で彼を怒らせてしまった...
...彼は矢先の狙いが定かで、命中精度が高かった...
...三成社を株式会社組織にしようと考えていた矢先き...
井上貞治郎 「私の履歴書」
...更に勇猛心を振い興して斯道(しどう)に力を尽そうと考えていた矢先であったので...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...むしゃくしゃしていた矢先だったのである...
太宰治 「パンドラの匣」
...機会があったらもう一度出かけて最新の流行を研究して来たいと思っていた矢先...
谷崎潤一郎 「細雪」
...―――そんなことを思いながら歩いている矢先だったのである...
谷崎潤一郎 「途上」
...織部正も和歌にかけては昨今大いに天狗(てんぐ)になりかけている矢先ではあり...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...自分は自分で早く身を固めようと思っていた矢先だったから...
近松秋江 「雪の日」
...それをひねくり廻している矢先へ通りかかったのが保険会社社長で葬儀社長で動物愛護会長で頭が禿(は)げて口髯(くちひげ)が黒くて某文士に似ている池田庸平事大矢市次郎君である...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...我國自動車界に一大センセーシヨンを捲起してゐる矢先に今又蓄電池自動車の製作が發表された...
豐田喜一郎 「トヨタ電氣自動車試作」
...今こそ別けの合図をと思う矢先に...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...その矢先、偶然思掛(おもいがけ)ない人に呼留(よびと)められて、車賃まで渡されて見ると、訪ねて行きさえすれば少し位の都合はしてもらえないはずはないという事を考えない訳(わけ)には行かなかった...
永井荷風 「ひかげの花」
...此疑問の解答を求めようとする心は日に増し激しくなつた其の矢先...
永井荷風 「来訪者」
...あの前の晩だよ」「なるほどな」「伊勢屋の後家をものにした矢先だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...主な汽船会社の激烈な競争となりつつある矢先だった...
牧逸馬 「運命のSOS」
...今朝忍藻がいなくなッた心配の矢先へこの凶音(きょういん)が伝わッたのにはさすが心を乱されてしまッた...
山田美妙 「武蔵野」
...吉宗は如才なく、「火急の場合とて、家来の暴言、悪く思うてくれ給うな」「何か、御城内に?」「オオ、御危篤」「えッ、家継公(いえつぐこう)が」「御不予(ごふよ)重(おも)らせられた御容子なるによって、急ぎ登営あるべしと、三家を初め、諸公がたへも、老中から御急使が廻ったばかりのところ」「では、いよいよ将軍家御代(ごだい)がわりか」「不吉な!」と、叱られて、万太郎もハッと口をつぐみましたが、「では、急ぎな矢先、これでお別れといたそう」「貴公は」「……む、自分は今、根岸の方に」「兄上の尾州殿のお姿も、ついその辺でお見かけいたしたが」「や、兄貴が来る? それはいかん」と、万太郎はすこし狼狽(ろうばい)して、「自分もきょうは急ぎの出先、これで御免を」「オオ、こちらも火急なところ故、御免!」「いずれ!」「いずれ!」と双方、端的な会話を投げ合って、吉宗が江戸城へ鞭(むち)を上げてゆくと、万太郎も、笠を抑(おさ)えたまま、大名小路(だいみょうこうじ)の陰へと、逃ぐるがごとく馳けこみました...
吉川英治 「江戸三国志」
...自斎を打ち込むご一心でござりましたか……聞くだに嬉しいことでござります」「その一心不乱の矢先に...
吉川英治 「剣難女難」
...一緒について行こうと考えていた矢先なので...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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