...次から次へ変えた髪飾りに応じて変った顔をして泛(うか)んで来た...
モオパッサン 秋田滋訳 「ある自殺者の手記」
...その次にはたちまち蔑み笑いを口許に泛(うか)べて踵(かかと)で床をコツコツとやる番であった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...いかづち怒り風狂ひ山河もどよみ震ふとき天潯高く傾けて下界に注ぐ雨の脚やめば名殘の空遠く泛ぶ七いろ虹のはし...
土井晩翠 「天地有情」
...ある時は其面に紅葉を泛(うか)べ或時は底深く日影金糸を垂(た)るゝ山川の明るい淵(ふち)の練(ね)った様な緑玉(エメラルド)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...舟を泛べるのに便利のよさゝうな家をと思つて見掛けも見憎くゝない三階作りの宿屋へ腰を卸した...
長塚節 「土浦の川口」
...みんなの頭の中には二つの名前が泛んでゐた...
新美南吉 「登つていつた少年」
...眼に涙さえ泛(うか)べていた...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...またこのときも自然に眼に泛べた...
横光利一 「旅愁」
...母に較べて老いこんだ父の白髪を眼に泛べた...
横光利一 「旅愁」
...食卓の上へエジツが洞窟の前の雛罌粟(ひなげし)を摘んで来て皿に泛(うか)べた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...船を鴨緑江に泛ぶ...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...身を宙に泛かせているような気がいつまでもしていた...
吉川英治 「黒田如水」
...あやうく新九郎の総身をふわりと泛(う)かし立てるように響いた...
吉川英治 「剣難女難」
...十年前の一夜――世良田の館(たち)の桜吹雪をとつぜん胸に泛かべていた...
吉川英治 「私本太平記」
...泛(う)いた僧形(そうぎょう)のかげを見ると...
吉川英治 「神州天馬侠」
...悠々の一舟を泛(うか)べ...
吉川英治 「新書太閤記」
...中村の田にある百姓たちの顔が一つ一つ頭に泛(うか)んでくる...
吉川英治 「新書太閤記」
...笑靨(えくぼ)が泛(う)いている...
吉川英治 「松のや露八」
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