...馬と主人とはお茶屋の門先(かどさき)に立つて残り惜しさうに内部(なか)を覗き込むでゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...吉右衛門は、口惜しさに、爆発しそうだった...
直木三十五 「寺坂吉右衛門の逃亡」
...口惜しさと、憤りとの上を、擽(くすぐ)ったく撫でられているようで、何処までついて行くのか? 何処で離れていいのか? 一体離れたものか、このまま益満の行くところまで、ついて行くのか、ついて行ったなら何うなるのか、離れてしまったなら、深雪は何うなるか?――(畜生め、一番、後方から斬ってやろうか)とも、考えたが、それは考えただけであった...
直木三十五 「南国太平記」
...お松は横を向いて口惜しさに震えます...
中里介山 「大菩薩峠」
...殘り惜しさが身を責める...
南部修太郎 「S中尉の話」
...一人口ふやすのが惜しさに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その残り惜しさは推し測られる...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...我まゝの本性あなどられしが口惜しさに...
樋口一葉 「たけくらべ」
...かく壊(こわ)されしことの口惜しさよと...
福田英子 「妾の半生涯」
...助かった少佐は口惜しさの余り当分失神したようになってしまった...
牧逸馬 「運命のSOS」
...こゝで口を利くのをさもさも惜しさうにぴつたりと顔を砂に埋めた儘性急に説明した...
牧野信一 「渚」
...無限の残惜しさが含まれているようであった...
森鴎外 「雁」
...口惜しさと憎しみとで...
山本周五郎 「おばな沢」
...かの女は抑えに抑えていた口惜しさがどっと胸へつきあげ...
山本周五郎 「日本婦道記」
...口惜しさがぎりぎり湧き上って来ると...
横光利一 「上海」
...その口惜しさがこみあげて...
吉川英治 「新書太閤記」
...語り尽きない残り惜しさを滲(にじ)ませていたが...
吉川英治 「新書太閤記」
...少年の純な口惜しさが大人以上の一途となって...
吉川英治 「宮本武蔵」
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