...そして何とも云ひやうのない口惜しさと不愉快な重くるしさが押しよせて来た...
伊藤野枝 「惑ひ」
...玄關の桁(けた)や垂木(たるき)がカツラだと云ふのを名殘り惜しさうに見てゐる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ぶつくさ呟(ぼや)きながら懐中(ふところ)から惜しさうに十円紙幣(さつ)を出して呉れた...
薄田泣菫 「茶話」
...そして三杯目の茶碗を惜しさうに膳の上におくと...
薄田泣菫 「茶話」
...偽筆本をつかまされた口惜しさに...
永井荷風 「来訪者」
...あとは家と店の品を焼いた口惜しさが一杯で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...曲者に名を騙られた口惜しさより...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...恨めしきは御新造とお峰は口惜しさに物も言はれず...
樋口一葉 「大つごもり」
...私は不運で御座りますとて口惜しさ悲しさ打出し...
樋口一葉 「十三夜」
...何としても甘(うま)くはすげる事の成らぬ口惜しさ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...なんだか残り惜しさうに見やつてゐた...
堀辰雄 「辛夷の花」
...あまりのことの口惜しさに...
正岡容 「小説 圓朝」
...みんなほんたうに別れが惜しさうで...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...つなは口惜しさのために身が震えた...
山本周五郎 「風流太平記」
...その残念な云い知れぬ口惜しさというものは...
横光利一 「欧洲紀行」
...他人の官爵をいただかせることの口惜しさよ...
吉川英治 「三国志」
...手綱に口惜しさをふるわせる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...そして口惜しさにその身体はわなわなと慄えている...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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