...これより前(さき)、相貌堂々として、何等か銅像の揺(ゆる)ぐがごとく、頤(おとがい)に髯(ひげ)長き一個の紳士の、握(にぎり)に銀(しろがね)の色の燦爛(さんらん)たる、太く逞(たくまし)き杖(ステッキ)を支(つ)いて、ナポレオン帽子の庇(ひさし)深く、額に暗き皺(しわ)を刻み、満面に燃(もゆ)るがごとき怒気を含んで、頂の方を仰ぎながら、靴音を沈めて、石段を攀(よ)じて、松の梢(こずえ)に隠れたのがあった...
泉鏡花 「婦系図」
...その社会的位置に相応する堂々たる生活をしていたので...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...八百屋などの雑然たる繁昌店が堂々たる店舗に改造して...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...煩瑣(はんさ)な堂々めぐりの...
太宰治 「女生徒」
...堂々と名乗って出て下さい...
太宰治 「新釈諸国噺」
...威厳あたりを払わんばかりの堂々たる人物であった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...「堂々たる男子が...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...議論堂々として常に高處を占め...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...堂々と大襲撃をやつて激戦するといふことは...
豊島与志雄 「アフリカのスタンレー」
...僕もまたその時こそ堂々と諸君を対手に弁論し...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...萬事規模の小さい琉球には珍らしい堂々たるものであつて...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...態度も堂々としている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...何も悪いことはしていないし、すべてを公開し、堂々としている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...旗艦「山城」が、一等巡洋艦「鳥海」「高雄」「摩耶」「愛宕」航空母艦「赤城」以下、第十駆逐隊「狭霧」「漣」「暁」を随へ、仄かなる春の霞みが岬の彼方に煙り初めたとは云へ、未だ如月の夢深い曙の波を蹴立てゝ、威風堂々、○○方面を指して遠洋航海の碇を巻いたのは、あの翌朝のことであつた...
牧野信一 「緑の軍港」
...あの哲学上の堂々たる理論が我々においてただの見かけ倒しであることもあれば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...堂々たる人数でこの下屋敷へ出向いて来た...
吉川英治 「剣難女難」
...意外にも蜀軍は堂々と直進して来た...
吉川英治 「三国志」
...堂々たる建物である...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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