...利益(りやく)を垂れると思うている...
芥川龍之介 「俊寛」
...六の小娘(こむすめ)の嬌態(しな)を作って甘っ垂れるようなもんだから...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...胸にかけた小さい金の十字架がぶらりと前に垂れる程頭をかゞめて薄暗い小屋の中の方をのぞくやうに見た...
長與善郎 「青銅の基督」
...ぽたりと氷嚢へ垂れるところが見えた...
夏目漱石 「虞美人草」
...水の垂れるような好い男...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...こいつは水の垂れるやうな美しさを發散し乍ら...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...たぶん悪者に攫(さら)われたのであろう」半之助はそう言って暗然と頭を垂れるのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そればかりを苦にいたして居りました」お百合はさすがに首を垂れるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...濡れてボトボト雫(しづく)の垂れるまゝ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...水も垂れるやうな鬢のかゝりから髱つきまで目にうつツたのです...
長谷川時雨 「水色情緒」
...糞、小便は、長さ五寸、幅二寸五分位の穴から、巌丈な花崗岩を透して、おかわに垂れる...
葉山嘉樹 「牢獄の半日」
...かあツと頭が熱くなると、急に脚の先から水がおし寄せて來るやうに冷え込んで來て、のべつにくしやみは出るし、鼻水は垂れるし、あまつさへ、レウマチスの氣味でもあるのか、腰骨や膝がしらが螺線のやうにしびれてゐて、全く埒もない有樣であつた...
牧野信一 「痴日」
...例へば折られぬを合点(がてん)で垂れる柳かな鍬(くわ)と足三本洗ふ田打(たうち)かな足柄(あしがら)の山に手を出す蕨(わらび)かなもの申(もう)の声に物着(き)る暑さかな片耳に片側町の虫の声邪魔が来て門叩(たた)きけり薬喰(くすりくい)の如き巧拙は異なれどもその意匠の総て諧謔に傾き頓智(とんち)による処尽(ことごと)く相似たり...
正岡子規 「俳諧大要」
...ポタポタポタと涙が食卓の上に垂れる...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
...絶えず涎(よだれ)が垂れるので...
森鴎外 「カズイスチカ」
...飯(いい)を食べながら涙を垂れるとは...
吉川英治 「私本太平記」
...鼻ばしらから垂れる雨を舌へ吸いこんだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...地に届かんばかりに垂れる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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