...橄欖(おりいぶ)色の栞の房が垂れた...
石川啄木 「鳥影」
...眦(めじり)と一所に垂れ下る髯の尖端(とっさき)を...
泉鏡花 「薄紅梅」
...そのころには、ここに幽霊が出るとか青火がもゆるなどと言い合えりけるが、しかるに二、三町行きしと思うころ、二、三間ほどの前面に当たりて、人の形のごとく六、七尺もあらんと思うほどのものが、長き髪を垂れ、中段以下はおぼろにて分明ならざりしも、少しずつ動きいるがごとくに見えければ、思わずハッと驚き、二、三歩引き下がりしまま見向きもやらず...
井上円了 「おばけの正体」
...電線は地に垂れ、水道栓が音を立てて水を吹き上げていた...
梅崎春生 「幻化」
...不動の姿でいつまでも両手を垂れ...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...今にもまた降り出しそうに重苦しく垂れ込めた灰色の空の下を...
橘外男 「生不動」
...小翠はただ首を垂れて微笑しながら手で牀(こしかけ)の隅をむしりだした...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「小翠」
...スリッパの踵の方が垂れ落ちて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...代助の手先から長く垂れた...
夏目漱石 「それから」
...宙に向って頭を垂れるのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...深々とうな垂れてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...足首まで水に這入って静かに糸を垂れている...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...彼にとつては憐れ味を垂れてやるべく痛快だつた...
牧野信一 「公園へ行く道」
...基経は頭を垂れて娘の髪をなでさすり...
室生犀星 「姫たちばな」
...乾より先に「申し訳ありません」と頭を垂れた...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...枕の外へ垂れている...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...稲の重く垂れ靡いている穂に...
横光利一 「旅愁」
...首を垂れて聞いていたが...
吉川英治 「三国志」
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