...しかも彼等は未(いま)だ嘗(かつ)て人生の脈搏(みゃくはく)に触れたことはない...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...嘗て私は、それを自然主義者の墮落と觀た...
石川啄木 「硝子窓」
...犬のように畳を嘗(な)めた...
泉鏡花 「歌行燈」
...春三郎は嘗て「新生活に入るのだ」と決心して非常な勇氣を鼓してこの下宿營業に從事した當時の心持を囘想して...
高濱虚子 「續俳諧師」
...未だ嘗て僕等が昔の先生に於いては一度も見たことのない...
辰野隆 「浜尾新先生」
...嘗てその道を阻(はゞ)んでいた浮世の義理や掟(おきて)などは...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...嘗て三田に在るの時評議員会議の一篇を公にして教育家を痛罵し米国より帰り来るや当世の新聞記者を誡め教うる文をつくる...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...嘗めてみないでも...
中里介山 「大菩薩峠」
...その病人の樣子などはホトヽギスや日本を見て自分が嘗て想像しつゝあつた先生なのである...
長塚節 「竹の里人〔三〕」
...松が關ツちふ相撲知つてるかねと問うたので余は囘向院の相撲で嘗て見たことを話すと彼は乘地になつたといふ鹽梅で「ありやなんだ石岡の酒藏に米搗をして居たんだがとう/\相撲になつちまつた...
長塚節 「土浦の川口」
...ズルズルベツタリ盃を嘗めて居ると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...幻たちは幻たちは嘗(かつ)て最もあざやかに僕を惹(ひ)きつけた面影となって僕の祈願にいる...
原民喜 「鎮魂歌」
...最後に彼女は彼の心を嘗め尽くした...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...それも叶はぬ暁は共に囚虜の苦を嘗めん...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...私は嘗つて巡歴中に制服を着た少年に出遭つたので...
エム・ケー・ガンヂー 福永渙訳 「神、國王、國家」
...大嘗会というのは...
森鴎外 「最後の一句」
...最初はただ新嘗の夜の慎しみが厳重で...
柳田国男 「年中行事覚書」
...言葉を換えて云えば「鼻の表情」とでもいうべきものが独立して研究されたという事を未だ嘗(かつ)て一度も承わった事が無いのであります...
夢野久作 「鼻の表現」
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