...嘗て十三歳の春から十八歳の春まで全(まる)五年間の自分の生命といふものは...
石川啄木 「葬列」
...嘗(かつ)て困苦を共にして来た最愛の良人(おっと)の不慮の死であったに違いありません...
石原純 「キュリー夫人」
...下唇をぺろりと嘗(な)めた...
泉鏡花 「海異記」
...これも嘗(か)つて私の言つた処であるが...
戸川秋骨 「翻訳製造株式会社」
...あの人がわたしには嘗て何一つ買ってくれたことのないのを...
豊島与志雄 「好人物」
...私がやはり嘗て懷徳堂で講演しました山片蟠桃といふ人も播州の出身であります...
内藤湖南 「大阪の町人學者富永仲基」
...余は嘗て主に東北塞外種族の言語即ち大體ウラルアルタイ語系に屬する言語から考へて...
内藤湖南 「爾雅の新研究」
...嘗めてみないでも...
中里介山 「大菩薩峠」
...嘗て妹が里子に行つて居た家の老婆である...
長塚節 「十日間」
...シューマン自身は狂気するほどの苦悩を嘗(な)めたにしろ...
野村胡堂 「楽聖物語」
...お紋は艱難辛苦を嘗めました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...嘗(な)めたように綺麗なのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人を嘗(な)めたものですね」「兎も角も行つて見よう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...舌の先きで丁寧に嘗めまはしてゐたなか子は思ひ出したやうに立ちあがると...
林芙美子 「朝夕」
...私は呆(ぼ)んやり油のついた掌(てのひら)を嘗(な)めていた...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...その嘗て使はれた筆名鐵幹も梅を意味し...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...嘗て一たび相對なる衆理想に對して皆是皆非の斷案を下し...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...鬼目博士の論文なら嘗(かつ)て亜黎子未亡人の処で読んだ事がある...
夢野久作 「超人鬚野博士」
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