...私だって、嘗(か)つては、このように、見え透いた嘘を、見破られているのを知っていながらも一生懸命に言い張ったことがあったのだ...
太宰治 「善蔵を思う」
...嘗(かつ)て阿媽港(あまこう)...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...おもに苦しみを嘗めたのは...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...併しそれと同時に自分の容貌は嘗て思ひもかけなかつたつらい重荷となつた...
中勘助 「銀の匙」
...』」――「嘗て私は...
中原中也 「夢」
...青年時代に嘗(な)めた...
野村胡堂 「楽聖物語」
...嘗(な)めるように丁寧にしらべた上...
野村胡堂 「古銭の謎」
...嘗ては西國筋の大名に仕へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...わしは未だ嘗て明るみのうちで見たこともないが……」真夜中のやうな静寂の中で...
牧野信一 「痴酔記」
...もしもあなたが死者から嘗て愛されてゐた事を信ずるならば...
水野仙子 「響」
...孟嘗遭二雍門一而泣(まうしやうがようもんにあひてなく)...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...今此処に居る美しく強力なるわが友は嘗てはわが世界の占有者であつた...
村山槐多 「殺人行者」
...わたくしの嘗て引いた蘭の詩二首の一は此七種の詩中より取つたものである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...嘗て僧似雲が任有亭にゐた時...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...嘗て女(ぢよ)国を以てこれに配せむとしたが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...嘗て一たび相對なる衆理想に對して皆是皆非の斷案を下し...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...やがて到来すべき新嘗(にいなめ)の日を待っているのが...
柳田国男 「年中行事覚書」
...昔の新嘗でも宵(よい)から暁まで...
柳田国男 「年中行事覚書」
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