...嘗て突き拔いた瞬間の大悦をば知らなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...非常なる不便を嘗(な)めたりしが...
石原莞爾 「戦争史大観」
...急に熊(くま)の胆(きも)を嘗(な)めたようなむつかしい顔になって...
海野十三 「今昔ばなし抱合兵団」
...嘗(か)つて何をしたか...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...自分も同じ暗黒世界に身を置くことがこの上もなく楽しかった後に公然と稽古することを許可されてからもこいさんと同じにしなければ済まないと云って楽器を手にする時は眼をつぶるのが癖(くせ)であったつまり眼明きでありながら盲目の春琴と同じ苦難を嘗(な)めようとし...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...嘗(かつ)て滋幹は幼少の折に...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...嘗(かつ)て驕慢に募れりとの咎(とが)めを受けたる烈公は...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...きっと嘗ては女房衣に身を包んでおったのであろう訳ある女...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...未だ嘗てこれほどではなからうと思はれるくらゐ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...嘗てオートバイで疾走した相当の道程(みちのり)を...
牧野信一 「F村での春」
...俺は未だ嘗て見たことがない...
牧野信一 「蔭ひなた」
...そんな自分の弱さは嘗て経験のためしもなかつたのであるが...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...この人は嘗て藥山に上つて禪學を修めたものであるから...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...大蔵は嘗て茶山に何物をか贈つたことがある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...一箸ずつは嘗(な)め試みる神農主義...
柳田国男 「雪国の春」
...彼女たちは自分の頭を嘗(かつ)て見た最大の頭よりも見栄(みばえ)あらしめるために...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...その代りに拾い上げる時は何もかも一時だよ」と嘗て筆者に言った事がある...
夢野久作 「実さんの精神分析」
...たとえいかなる臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の苦難をしのぶとも...
吉川英治 「黒田如水」
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