...魂の哀切なる呻(うめ)きが聞こえる...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...しかも眉に一抹の哀切な愁を漂わせつつ降壇した...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...山の方で鳶がしきりに鳴く、哀切な声だ...
種田山頭火 「其中日記」
...二人の生活がこんな悲しい成行きになってしまったという哀切な意識からだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...訪へる神母はその愛兒、パトロクロスの傍に伏して號慟切なるを認む、同僚亦ともに 5あたりに泣けり、端嚴の神女その時近寄りて、彼の手を取り、翼ある言句を陳じ彼に曰ふ、『愛兒よ、悲哀切なるも、彼の伏すまゝ打すてよ、その初より神明の意により彼は討たれたり、いざ人界の子が未だ肩に荷ひしことのなき、 10華麗の鎧收め取れ、ヘープァイストスの贈物...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...或る哀切な弱々しさが加わり...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...哀切な感情をかきたてます...
豊島与志雄 「肉体」
...美しい哀切なものとなりました...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...魂の哀切な追懐であり...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...哀切な声)飛騨の高山...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...哀切な声になってゆく...
原民喜 「美しき死の岸に」
...「をぢさん」と鋭い哀切な声で私は呼びとめられてゐた...
原民喜 「夏の花」
...輕太子(かるのみこ)と輕大郎女(かるのをとめ)との哀切な情史が其處にある...
堀辰雄 「若菜の卷など」
...その叫びごゑには、何か哀切な、帛(きぬ)をさくやうな、さしせまつた、異常な恐怖を訴へる、誰れにともない救急の呼びごゑのやうな節も感ぜられたし、かと思ふと、そこの入江にのぞんで建つてゐる料亭の広間で、したたかに酔つ払つたひと組の連中が、何かしら胴間ごゑを張り上げてふざけ散らしてゐる、意味もないたは言のやうにもききなされる節があつた...
三好達治 「海辺の窓」
...帛をさくやうなあの哀切な余韻...
三好達治 「海辺の窓」
...彼の上に深い感化を及ぼして早死にした心の友ラ・ボエシ Etienne de La Botie(正しくはラ・ブウェティと発音される)に対する哀切な追憶が生んだ友愛論であると共に...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どうぞ早く」「だがその人数に東寿独りでは」「先生」東寿の声はなんとも云いようのない哀切な響をもって大弐を制した...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...いかにも哀切な調子だった...
吉川英治 「三国志」
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