...しかしこの哀切なる悲声が彼の魂の咽喉(のど)を絞りて出でたるがために...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...実に三友はヨブの哀切なる懇求に接しても...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...顔をそむけたいくらいの哀切な誓いをするので...
太宰治 「斜陽」
...その哀切な虫の調べがなんだか全身に沁(し)み入るように覚えた...
田山花袋 「一兵卒」
...二人の生活がこんな悲しい成行きになってしまったという哀切な意識からだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...」葉子は哀切な言葉でしきりに訴えた...
徳田秋声 「仮装人物」
...ひどく哀切なことのように思われ...
外村繁 「澪標」
...或る哀切な弱々しさが加わり...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...シューベルトの菩堤樹を歌ってるフィロメールの哀切な熱烈な美声に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...哀切な声)飛騨の高山...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...「をぢさん」と鋭い哀切な声で私は呼びとめられてゐた...
原民喜 「夏の花」
...輕太子(かるのみこ)と輕大郎女(かるのをとめ)との哀切な情史が其處にある...
堀辰雄 「若菜の卷など」
...天地自然の哀切なるものに応へようとする挨拶の辞(ことば)さへ見失つてしまふ普段の愚かさを愧ぢたのであつた...
牧野信一 「痩身記」
...その叫びごゑには、何か哀切な、帛(きぬ)をさくやうな、さしせまつた、異常な恐怖を訴へる、誰れにともない救急の呼びごゑのやうな節も感ぜられたし、かと思ふと、そこの入江にのぞんで建つてゐる料亭の広間で、したたかに酔つ払つたひと組の連中が、何かしら胴間ごゑを張り上げてふざけ散らしてゐる、意味もないたは言のやうにもききなされる節があつた...
三好達治 「海辺の窓」
...どうぞ早く」「だがその人数に東寿独りでは」「先生」東寿の声はなんとも云いようのない哀切な響をもって大弐を制した...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...私だけを待っている大勢の見物に」哀切なことばで...
吉川英治 「江戸三国志」
...音は尺八に似てさらに哀切なるものである...
吉田絃二郎 「八月の霧島」
...劇の調子が高まって妾の情人の哀切な心を表した舞姿に異国人が海の彼方の歌劇的な情味(じょうみ)を感じた時...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
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