...私は元々坐っていたのであるが...
海野十三 「蠅」
...元々、隆吉の学課を見て貰うというのも、自分を補助する口実とするための、横田の方の好意なのであった...
豊島与志雄 「反抗」
...元々私の生家は相当の資産家で...
西尾正 「陳情書」
...元々實の父親(てておや)が子供を引き取らうといふのは當然だもの...
正宗白鳥 「孫だち」
...「元々、人みしりをするようなたちでしたからねえ...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...馬春堂は取り残されて、「なあんだ……」と、酬(むく)われざるさびしさに、手のうちの玉を逃がした心地がしたが、元々、女を助けても女が取りすがってくる柄(がら)でないことは、自分の履歴が承知しているので、「どれ……もう来るだろう」橋の袖木(そでぎ)に窮屈な腰を下ろして、袂落(たもとおと)しの煙草(たばこ)入れと、火鎌(ひがま)を腰からとり出して、人待ち顔の暇つぶし煙草と出かけました...
吉川英治 「江戸三国志」
...元々、植ゑる仕事は樂しいものゝはずである...
吉川英治 「折々の記」
...そなたは元々、尼前(あまぜ)のおん身...
吉川英治 「私本太平記」
...元々、地頭の鎖(くさり)をきらって、散所住民となった彼らだし、官家の余剰物資を市へ出して、それぞれの販路へながす商人たちの商売まで、すべて公卿経済との結びつきの上にある彼らなので、「鎌倉...
吉川英治 「私本太平記」
...「元々、ただの舟芸人にすぎませぬ...
吉川英治 「私本太平記」
...小宰相(こさいしょう)ノ局(つぼね)は元々鎌倉のまわし者だ」「それはこの清高も...
吉川英治 「私本太平記」
...元々、彼らにすれば...
吉川英治 「私本太平記」
...元々、この男は天上界における天殺星(てんさつせい)という魔星(まのほし)であって、かりに人の世に生れ、文明の灯が江湖(よのなか)にかがやくまではと、天帝のおいいつけで、世造(よづく)りと人革(ひとあらた)めのため血をながす地獄仕事をしなければならない宿命となっている...
吉川英治 「新・水滸伝」
...なんでこんな待遇を君はとるのか」「元々のこの宋江は...
吉川英治 「新・水滸伝」
...どうにもならん」「いや元々...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――北京の難を、直接、救わんとすれば大きな犠牲を要しますが、彼らの留守を襲って、先に、梁山泊を陥(おと)してしまえば、元々、烏合(うごう)の衆(しゅう)、あとは苦もなき掃討(そうとう)でかたづきましょう」「なるほど...
吉川英治 「新・水滸伝」
...なるほど、おれには元々、そういう叛骨(はんこつ)があったのだと思う...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...いうのか」「元々(もともと)...
吉川英治 「平の将門」
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