...古藤のやつは少し骨張(ほねば)り過ぎてる……が悪かったら元々(もともと)だ……とにかくきょうおれのいないほうがよかろう」そういって倉地は出て行った...
有島武郎 「或る女」
...それは元々、つい一両日前からこのカフェの福の神となった化助の口から出たことであったけれど、北鳴のさげている鞄には撮影機が這入っているにしてはどうも軽すぎるという話だった...
海野十三 「雷」
...元々あの若い職工さんが...
海野十三 「もくねじ」
...又元々通りグッと押えつけて...
江戸川乱歩 「お勢登場」
...元々の問題は、電力会社の株式と配当の問題ではなくて、東北地方の貧窮の振興、否、貧窮の救済だったのだ...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...元々が小心な彼は...
戸坂潤 「社会時評」
...元々意志の弱い男が...
中島敦 「光と風と夢」
...元々村へ出るには...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...こずき回しながら山上への路へ消える)隊一 元々あれは...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...元々こんな遠方へ...
吉川英治 「江戸三国志」
...「元々、筑前守のお扱いで、ひとたび織田家に盟を約しておきながら、また毛利方へ寝返ってまる二箇年の歳月、ここにたて籠(こも)って来たわれわれのことですから、それがし以下、責(せめ)ある者が、腹を切るのは当りまえです...
吉川英治 「黒田如水」
...元々、探題職は平和時の半文官だし、越後守仲時も若年の人なので、現地の老将軍や頑将をうごかすには、どうしても、いちいち鎌倉の府を通し、鎌倉の指令としなければ行われぬような状態にあったのだ...
吉川英治 「私本太平記」
...元々、彼のはらは早くからそこにあったらしい...
吉川英治 「私本太平記」
...が、勝家は、かさねて、「――いやいや、薄縁なこの勝家へ、御貞節はうれしく思うが、元々、三人の息女らも、浅井殿(長政)の遺子...
吉川英治 「新書太閤記」
...いうのか」「元々(もともと)...
吉川英治 「平の将門」
...――おれには、おばばのその肚がわからぬ」「わしの手で殺すは易いことじゃが、元々、汝(わ)が身を裏切った不貞な女、汝が身の手で成敗させてやりたいと思う親ごころのそれも一つ、有難いとはなぜ思わぬか」五「それじゃあ、おばばは、おれの手でお通を斬れというのか」「……嫌か!」鬼のことばのようである...
吉川英治 「宮本武蔵」
...元々、兄は刀鍛冶ではないのだ...
吉川英治 「山浦清麿」
...また、気むずかしいはずである父の方も、元々、結婚前の妊娠を認めて家庭に入れた事であるから、それについては勿論、ほかの点でも一切、緘黙(かんもく)を守っている風だった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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