...僅かに俺の中に實現したる「眞理」を辱しめる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...やっと下ってきてもう僅かになったので...
板倉勝宣 「五色温泉スキー日記」
...吾輩は僅かに遺された著書だけで...
伊藤左千夫 「『悲しき玩具』を読む」
...僅かに殘つた海岸よりほかに道がない...
岩野泡鳴 「日高十勝の記憶」
...所謂衆生は秘かに汗ばみ所謂庶民は僅かに息吐(いきづ)き所謂人類は爪尖たてゝ苦悩の大地の垣根の辺(ほと)りに是を仰いで浩歎した...
上里春生 「傾ける殿堂」
...何しろ結婚後僅かに四日目の出来事なので...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「蛇性の執念」
...古釘なんか叩いて僅かに生理的なごまかしをつけ...
豊島与志雄 「黒点」
...僅かに根を以て立つもの短松杉あり...
長塚節 「草津行」
...僅かに木を伐り下ろして...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...僅かに赤いものを着けたお靜のたゝずまひが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...平次はそれを取上げて、中を覗いて見ましたが、よく呑み干して一滴も殘つては居ず、懷ろ紙を出して、その上へ瓢箪を逆樣にすると、僅かに一滴、二滴、紙の上に血のやうに滴るものがあります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...恐らく一段も二段もよくなっているだろうにはちがいない(今日この速記を読んでいくと僅かに一ヶ所...
正岡容 「我が圓朝研究」
...よし誤られざるも十ヶ条の注文の中僅かに三...
正岡子規 「墨汁一滴」
...僅かに機械蕎麦位で我慢をして来たのであります...
村井政善 「蕎麦の味と食い方問題」
...あなたは鈴木のむすめも同様なのですから、そんなときは意地を張らずに帰って来るのですよ、わたしはいつでもよろこんでお待ちしているのですからね」お石は泣かなかった、少し蒼(あお)ざめた顔を俯向け、僅かに、はい、はいと答えるだけだった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...上段から打ちおろす刀を、僅かに躱したが、二の太刀は受けきれなかった...
山本周五郎 「風流太平記」
...髪毛はすっかり白くなったのが僅かに残っているだけだった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...今度は混乱僅かに半世紀余にして宋の統一(960―1279)を実現した...
和辻哲郎 「鎖国」
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