...僕等の独創と呼ぶものは僅かに前人の蹤を脱したのに過ぎない...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...かう言ひつゝ僅かに陰鬱の氣を散じたのである...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...それでも提灯の灯があればこそ僅かに通れるのであった...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...引潮の時僅かに海上に現われている様な...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...成程最前コウモリ傘をへし曲げられそうになったのを僅かにこらえて来た時のことを思う...
高浜虚子 「丸の内」
...僅かに屋根の大棟に煙抜きらしいものがあるだけである...
田畑修一郎 「出雲鉄と安来節」
...ガソリンは僅かに九十リットルしか残つてゐませんでした...
豊島与志雄 「北極のアムンセン」
...「お浜!」竜之助は僅かにその名を歯の外には洩(も)らさなかったけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...私の上から下までの着物――と申しましても襦袢(じゅばん)ともに僅かに三枚なのでございますが...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼が天保三年に著した『雪華図説』は僅かに十七枚の小冊子に過ぎないが...
中谷宇吉郎 「雪」
...僅かに五十仙か八十仙しか取らないじゃないか...
新渡戸稲造 「教育の目的」
...何方が先なんだ」「私の方が先で」左孝の唇は繃帶(ほうたい)の中に僅かに動きます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...襟と八つ口に僅かに匂ふだけ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...梅の根元までは僅かに三間ばかり...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...僅かに身體の事にても斯の如し...
福澤諭吉 「亞細亞諸國との和戰は我榮辱に關するなきの説」
...僅かに眉毛が幾分うすくなつてゐる程度であるが...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...僅かに眼だけで会釈した...
山本周五郎 「半之助祝言」
...これを僅かに自分から見つけた価値のように思われ...
横光利一 「旅愁」
便利!手書き漢字入力検索