...足音を偸(ぬす)むようにはいって来た...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...偸安(とうあん)の念か...
芥川龍之介 「芸術その他」
...凱旋の将軍の夫人が偸見(ぬすみみ)の如き冷かにしてあたたかなる銀の如き顫音を加へてしづやかに...
高村光太郎 「ヒウザン会とパンの会」
...半ば蔑(さげす)むような眼つきでナオミの顔を偸(ぬす)み視(み)ながら...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...自分の体を偸(ぬす)み視たが...
オイゲン・チリコフ Evgenii Nikolaevich Chirikov 森林太郎訳 「板ばさみ」
...わたくしは図らずも此のラビラントの一隅に於いて浮世半日(ふせいはんじつ)の閑を偸(ぬす)む事を知った...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...この間おさんの三馬(さんま)を偸(ぬす)んでこの返報をしてやってから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...この四十年の間にも初期は文事勉強の余暇を偸んで運動摂生したものが...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...それから彼はちらりと自分の老父の方を偸(ぬす)み見ながら...
堀辰雄 「幼年時代」
...法螺忠がさつきから折に触れては此方の顔を憎々しさうに偸み見るのは...
牧野信一 「鬼涙村」
...偸み見て、小説の材料にしようとたくらむだのである...
牧野信一 「冬の風鈴」
...而(しか)して猴が他の諸猴の真似して偸(ぬす)んだ珠を佩び現われたところは上述赤帽の行商人の譚に近い...
南方熊楠 「十二支考」
...そういう間にもお前には済まないと思いながらわたしはわたしの快楽を何かの隙間からも偸(ぬす)みたのしんで...
室生犀星 「みずうみ」
...こまごました家事のいとまを偸(ぬす)んで...
山本周五郎 「日本婦道記」
...この時勢に閑を偸(ぬす)むものなりと非難していたが...
吉川英治 「三国志」
...ひとり悠々閑日を偸(ぬす)んで...
吉川英治 「新書太閤記」
...爬虫類(はちゅうるい)のような迅(はや)さと狡(ずる)さで彼女のおんなを偸(ぬす)んでいた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...人生の小安を偸(ぬす)んで楽しみたくなるような気持ちが...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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蝕まれた 厭倦 惚れて通えば千里も一里
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