...時々そっと眼をあげて私よりもむしろ床の間の楊柳観音(ようりゅうかんのん)を偸(ぬす)み見ながら...
芥川龍之介 「疑惑」
...偸(ぬす)み読みをすることを発明していた...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...時々胸の赤薔薇(あかばら)を気にしている藤沢を偸(ぬす)み見ずにはいられなかった...
芥川龍之介 「路上」
...桃を偸(ぬす)んでいて...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「偸桃」
...三種の神器(じんぎ)を偸(ぬす)み出して叡山(えいざん)に立て籠(こも)った事実がある...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...とたんにチラリと偸(ぬす)むように記者の顔を一瞥して...
谷崎潤一郎 「蘿洞先生」
...宛も盗人のように足音を偸んではいって来...
豊島与志雄 「理想の女」
...すこし病(やまい)の閑(ひま)を偸(ぬす)んで...
夏目漱石 「思い出す事など」
...上眼使いでオドオドと真名古の顔を偸視(ぬすみみ)するようになった...
久生十蘭 「魔都」
...仮令(たと)い戸外の業務あるも事情の許す限りは時を偸(ぬす)んで小児の養育に助力し...
福沢諭吉 「新女大学」
...蒼然(そうぜん)たる夜色に偸(ぬす)まれて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...彼のほっそりした頸(くび)を偸(ぬす)み見ているようなことさえあった...
堀辰雄 「燃ゆる頬」
...蚊帳の穴をくぐるは偸盗(ちゅうとう)罪なり...
正岡子規 「刺客蚊公之墓碑銘」
...程近き街の魚屋(うをや)が猫に魚を偸(ぬす)まれて勝手口に来て女中に訴へてゐるのであつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...扉に耳を附けて偸聴(たちぎき)をする気になつた...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...美禄(びろく)を獲(え)てのめのめと自己のみ半生の栄耀(えいよう)を偸(ぬす)むような鹿之介幸盛であろうはずはない...
吉川英治 「黒田如水」
...草履(ぞうり)の音も偸(ぬす)むように...
吉川英治 「新書太閤記」
...いろは長屋の魅力はしばしば子供に親の眼を偸(ぬす)ませ...
吉川英治 「忘れ残りの記」
便利!手書き漢字入力検索