...何のことはない、遊興してよい気持になりかけると入りかわり立ちかわり借金取りが現われるようなものである...
伊丹万作 「私の活動写真傍観史」
...まあ何のことはない...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...何のことはない、陽春(ようしゅん)四月頃の花壇(かだん)の中に坐ったような光景だった...
海野十三 「柿色の紙風船」
...叔父(おじ)が経営してますから」何のことはない...
大坪砂男 「浴槽」
...何のことはない手の甲からズカツと畳まで刺しつけて動けんやうにした...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...その國の司の乘つてゐる斑白毛の馬を中心に七八人ごたごたと渦を卷いてゐるその一行の群が、見馴れた山にも、湖水にも、橋にも、または最後まで別れかねて見送つて來た人達にも別れ別れて、遠く遠くさびしい悲しい野山の旅をして行くさまが、何のことはない、屏風の繪か何かのやうにかれ等の眼の前に動いて行くのであつた...
田山花袋 「道綱の母」
...」銀子が訊(き)くと、何のことはない...
徳田秋声 「縮図」
...何のことはない、二十代もつづいた大庄屋(おおしょうや)の台所へ来たようなものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...たかの知れた博徒共を追払うは何のことはないとしても...
中里介山 「大菩薩峠」
...眼が覚めるとまたまた鞄をさげて出社‥‥何のことはない...
林芙美子 「愛する人達」
...玄関には鉾を持った門番が一人立っていたが、そいつが、まるで伯爵みたいな面がまえで、バチスト麻のカラーをつけているところは、何のことはない、ブクブク肥らされた狆にそっくりなんでね……...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...ところが、この機敏な頭に何か不幸が降りかかり、彼自身が苦しい羽目に立つようなことになると――そんな人格などはどこかへ雲がくれをしてしまうのだ! その確乎たる人物が、すっかり狼狽してしまい、似ても似つかぬ憐れむべき臆病者に、見る影もない弱々しい子供に変ってしまう、いや、何のことはない、あのノズドゥリョフがよく口癖にいう、助平になってしまうのである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...尻をおさえながら我慢して稼ぎ漸く痔瘻と梅毒の手術代を儲けて医学博士の病院へ入院さ何のことはない魚の料理ガラスの手術台へ素っ裸にして乗せられ手も脚も縛って目隠しを当てメス...
細井和喜蔵 「泥沼呪文」
...何のことはない箱(はこ)のやうな室(へや)で...
三島霜川 「平民の娘」
...だがわかって見れば、何のことはない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...何のことはないお伽話(とぎばなし)みたような筋道になってしまいますが...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...私にはさっぱり分らないので、ぼんやり顔を見ていると、何のことはない、そこがつまり、同時にホテル・マルノの前で停っていたのだ...
横光利一 「欧洲紀行」
...――たとえ海ほど山ほどの馳走を盛ろうと、もしそれが、心の副(そ)わぬものであったら、何のことはない、人は物に、たばかられているようなものに過ぎない」「わが良人(つま)のお嫌いも、心の副わぬ、物だけの、物脅(ものおど)しでございました」「さればよ...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??
