...なぜなれば君はしばしば不器用な言葉の尻(しり)を消して...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...古い陶物(やきもの)の厚ぼったい不器用な味がよく出ていた...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...嘉七の不器用な冗談に笑ったのではなく...
太宰治 「姥捨」
...台所で、何もせずに、ただのっそりつっ立っている姿を、私はよく見かけたものであるが、子供心にも、うすみっともなく、妙に疳(かん)にさわって、おい、お慶、日は短いのだぞ、などと大人びた、いま思っても脊筋(せすじ)の寒くなるような非道の言葉を投げつけて、それで足りずに一度はお慶をよびつけ、私の絵本の観兵式の何百人となくうようよしている兵隊、馬に乗っている者もあり、旗持っている者もあり、銃担(にな)っている者もあり、そのひとりひとりの兵隊の形を鋏(はさみ)でもって切り抜かせ、不器用なお慶は、朝から昼飯も食わず日暮頃までかかって、やっと三十人くらい、それも大将の鬚(ひげ)を片方切り落したり、銃持つ兵隊の手を、熊(くま)の手みたいに恐ろしく大きく切り抜いたり、そうしていちいち私に怒鳴られ、夏のころであった、お慶は汗かきなので、切り抜かれた兵隊たちはみんな、お慶の手の汗で、びしょびしょ濡(ぬ)れて、私は遂(つい)に癇癪(かんしゃく)をおこし、お慶を蹴(け)った...
太宰治 「黄金風景」
...樣といふ字のこの不器用なくづしかたに彼は見覺えがあつたのである...
太宰治 「猿面冠者」
...何という不器用な接吻の仕方であろうと思いながら...
谷崎潤一郎 「鍵」
...君の言うその獣に滅ぼされるのは、弱いもの、不器用なもの、不注意なもの、つまり何かの欠陥の持主で、自然が後代へ伝える価値なしと認めたものに限るのだ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...一見甚だしく不器用なようみ見える描き方や...
寺田寅彦 「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」
...今日(きょう)不器用な手に小石を数えつゝ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...武田は不器用な顔付で示す...
豊島与志雄 「裸木」
...以前はこの水田が甚だ不器用な区分で...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...ゑゝ不器用な彼んな手つきして何うなる物ぞ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...不器用な恰好で這い込んでゆくようすときたら!劇的(ドラマチック)とでも言いましょうか...
久生十蘭 「犂氏の友情」
...不器用な音階を繰り返し繰り返し...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...彼はいきなり立ちあがると不器用な歩き方でロッジを出て行った...
堀辰雄 「ルウベンスの偽画」
...誠実で不器用な感覚の重苦しさを...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...八は節榑立(ふしくれだ)つた不器用な指で...
森鴎外 「金貨」
...不器用な音もさせないし...
吉川英治 「江戸三国志」
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