...ちょいと、当分は留守とおいいと云ったじゃないの?」「アニ、はい、で、ござりますけんど、お客様で、ござんしねえで、あれさ、もの、呉服町の手代衆(しゅ)でござりますだ...
泉鏡花 「婦系図」
...乳母(うば)が、(まあ、何でござります、嬢ちゃまも、坊っちゃまも、お客様の前で、)と主税の方を向いたばかりで、いつも嬢さまかぶれの、眠ったような俯目(ふしめ)の、顔を見ようとしないので、元気なく微笑(ほほえ)みながら、娘の児の手を曳(ひ)くと、厭々それは離れたが、坊やが何と云っても肯(き)かなくって、果は泣出して乱暴するので、時の間も座を惜しそうな夫人が、寝かしつけに行ったのである...
泉鏡花 「婦系図」
...来店されたお客様にも拝んで頂いています...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...「お客様お代金を頂戴いたします」と請求されたような気もすれば...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...待ってよ! 新しいお客様だわ...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...お客様だって気持ちを悪くなさるよ』などと悪態をついて...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...とまでおっしゃらなくてもいいでしょう? もし本当に訪ねて来られたらいかがなさる? お客様のたくさんいらっしゃってる店先へ...
永井隆 「この子を残して」
...あのお隣室のお客様が夜更けまでお話しになるとお困りでしょうから」「いいや...
中里介山 「大菩薩峠」
...諸国のお客様の定宿(じょうやど)の多い馬喰町の通りであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...さいぜんお泊りになった二人づれのお客様で...
中里介山 「大菩薩峠」
...お客様といったようなものを一わたり見渡してから...
中里介山 「大菩薩峠」
...「東京からお客様ださうです...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...」「お客様のお迎へにいらしたの?」車掌がさういふと鶴子は不図彼をかへり見て笑ひながら...
牧野信一 「陽に酔つた風景」
...どうかしてあの声にさそい込まれて一人でもお客様が入ってきてくれれば……...
正岡容 「寄席」
...「お客様のいらっしゃる時にいけませんわね...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...お客様よ」お静の呼び声に...
山中貞雄 「森の石松」
...お客様がお帰りだ...
山中貞雄 「森の石松」
...妾はあなたと違ってお客様のお座敷へも出るのですからね」犬はイヤな奴だと思いましたが...
夢野久作 「どろぼう猫」
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