...――今夜はお客様もあるんだのに……」と駆けて来た愛子にわざとつんけんいうと...
有島武郎 「或る女」
...お三重の姿は崩るるごとく、芍薬(しゃくやく)の花の散るに似て、「堪忍して下さいまし、堪忍して、堪忍して、」と、呼吸(いき)の切れる声が湿(うる)んで、「お客様にも、このお内へも、な、何で私が失礼しましょう...
泉鏡花 「歌行燈」
...夜会のお客様も一人もお出でなさらぬ...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...十人以上のお客様が出来る程広かったが...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...お客様に汽車のお話でも聞くがいいよ」などと...
大阪圭吉 「とむらい機関車」
...お客様で一ぱいになる事もありました...
太宰治 「きりぎりす」
...きょうのお客様は...
太宰治 「女生徒」
...大事のお客様をお苦しめして...
田中貢太郎 「西湖主」
...それから、ひそひそ話で、時々目面(めがお)で笑ったり睨めたりして、かなり永いこと話が続きましたが、「それじゃ、今夜は泊り込むとしよう、だが明日の朝は、また鳥沢まで行かなくちゃあならねえのだ」「ほんとうに落着かない人だ、いくら足が自慢だからと言って、そうして飛び廻ってばかりしているのも因果な話」「どうも仕方がねえや、こうしてせわしなく出来ている身体だ」「あ、そりゃそうとお前さん、鳥沢へ行くのなら、お客様を一人、案内して上げてくれないか、まだお若いお侍だけれど、手形を失くしてしまって困っておいでなさる様子、抜け道を聞かしてもらいたいとわたしに頼むくらいだから、ほんとうに旅慣れない初心(うぶ)な女のような若いお侍だよ」「なるほど、そりゃ案内してやっても悪くはねえが、こちとらと違って、あとで出世の妨げになってもよくあるめえからな、それを承知で、よくよくの事情なら、ずいぶん抜け道を案内してやらねえものでもねえ」「そりゃお前さん、よくよくの事情があるらしいね、手形を失くしたというのは嘘(うそ)で、持たずに逃げ出して来たんだね、それで、どうやら追手がかかるものらしく、外へも出ないで隠れている様子が、あんまり痛々しいから、お前さん、ひとつ助けておやりよ、女のような優しいお侍だからかわいそうになってしまう」十一その翌朝になっても雨はしとしとと降っていましたが、それにも拘らず宇津木兵馬は、駕籠を雇ってこの宿を立ち出でました...
中里介山 「大菩薩峠」
...夜中過ぎまでお客様と飲んでいたのを見たということだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...お客様といったようなものを一わたり見渡してから...
中里介山 「大菩薩峠」
...「お客様です」と...
林芙美子 「浮雲」
...別れとなると、今さらのようにこの大広間が、このチャブ台の高座が、お客様たちが、なんとも言えず名残り惜しかった...
正岡容 「寄席」
...」そして、お客様も主人も、あわてゝ、ちり/″\に逃げ出しました...
宮原晃一郎 「虹猫の話」
...「ではお客様に、それは私の長い間の願いだったことを言ってくだすって、にわかな思いつきの浅薄な志だと取られないようにしていただけば、私も自信がついて接近して行けるでしょう...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...鄭重にお客様を9150歓迎いたす徴(しるし)ではございますまいか...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...お客様かな...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...行きつけない警察を億劫(おっくう)がってまだ取りに行かずにいるので――もしお客様がそう御覧になりたいというならば...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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