...ぴたりとついて留まったが、飜然(ひらり)と此方(こなた)へ向(むき)をかえると、渚(なぎさ)に据(すわ)った丘の根と、海なるその岩との間、離座敷の二三間、中に泉水を湛(たた)えた状(さま)に、路一条(みちひとすじ)、東雲(しののめ)のあけて行(ゆ)く、蒼空(あおぞら)の透くごとく、薄絹の雲左右に分れて、巌(いわ)の面(おも)に靡(なび)く中を、船はただ動くともなく、白帆をのせた海が近づき、やがて横ざまに軽(かろ)くまた渚に止(とま)った...
泉鏡花 「悪獣篇」
...この離座敷は妾の寝室として用意したものではなく...
海野十三 「三人の双生児」
...驚いて離座敷に駈けつけてきた...
海野十三 「三人の双生児」
...それは妾が真一と共に離座敷に入ろうとしたときに...
海野十三 「三人の双生児」
...妾が離座敷に行ったときには...
海野十三 「三人の双生児」
...僕が泊るときにはいつも寝床をとってもらうことになっている離座敷(はなれざしき)との外には...
海野十三 「振動魔」
...離座敷のお部屋にばかりいらっしゃいますので...
太宰治 「葉」
...娘は奥まりたる離座敷(はなれざしき)とも覚しき一間(ひとま)の障子外より押開きてづかづかと内に上(あが)り破れし襖(ふすま)より夜のもの取出(とりいだ)して煤(すす)けたる畳の上に敷きのべたり...
永井荷風 「葡萄棚」
...もとは家主の住宅の離座敷であつたのを...
永井荷風 「来訪者」
...平八郎が離座敷(はなれざしき)の雨戸の内から叫んだ...
森鴎外 「大塩平八郎」
...正面にある離座敷(はなれざしき)の雨戸を半棒(はんぼう)で敲(たゝ)きこはした...
森鴎外 「大塩平八郎」
...離座敷には人声がしてゐる...
森鴎外 「大塩平八郎」
...なる程宮重の家の離座敷と云っても好いような明家で...
森鴎外 「じいさんばあさん」
...奥の離座敷に上等の客を留めることにしている...
森鴎外 「二人の友」
...戸を開け離座敷のゆき子の室(へや)へ行ったが帰って居ない...
山下利三郎 「誘拐者」
...離座敷の階下ゆき子の部屋へ導かれた...
山下利三郎 「誘拐者」
...それまで二人が隠れ住んでいた福岡市外の松園(まつぞの)という処の皮革商(かわや)の離座敷(はなれ)で生れたのであったが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...御休息所になったという十畳の離座敷(はなれざしき)は...
夢野久作 「笑う唖女」
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