...寮雨位辞するものに非ず...
芥川龍之介 「恒藤恭氏」
...左大臣家では此の浄蔵を懇請したので、浄蔵が行ってみると、既に時平の面上に死相が現れているので、もはや定業(じょうごう)は免れ難く、たといいかようの術を施しても萬死に一生を得ることはむずかしい旨を申したのであったが、病人も、附き添う家族の人々も、頻(しき)りに乞うて止まないので、辞するに由なく、兎(と)も角(かく)も加持祈祷に努めた...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...「アメリカさ、太平洋の真ン中にあるよ」フーン、と私は返辞する...
徳永直 「こんにゃく売り」
...自由派なし曩きに彼れの米国公使に任ぜられて代議士を辞するや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...再三辞するもきかず一室に招(しょう)ぜられた兵馬は...
中里介山 「大菩薩峠」
...今は辞するに由(よし)なくて...
中里介山 「大菩薩峠」
...招ぜられて二人は、辞することなく、するすると座敷へ通って程よく並んだと見ると、もう案内の婆やの姿は掻(か)き消されてしまって、行燈(あんどん)の下に、しょんぼりと坐っている男女の姿のみを見るのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...われわれは衛門(えいもん)を辞するほかはない」などときびしく詰め寄ってくる...
久生十蘭 「無月物語」
...いつも私たちは翌日の昼過ぎにそこを辞するのであつた...
牧野信一 「海棠の家」
...あえて辞するものではありませんが...
三好十郎 「その人を知らず」
...お身にあうことができれば流罪だってわたくしは敢(あえ)て辞する者ではない...
室生犀星 「花桐」
...若し水路を行くことを辞するときは...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...保は職を辞する前に...
森鴎外 「渋江抽斎」
...芸人があるいは人の誚(そしり)を辞することを得ざる所であろう...
森鴎外 「渋江抽斎」
...意地の悪い方法もあえて辞するには及ばない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それに返辞する勇気もなかった...
吉川英治 「三国志」
...「拝辞するかもしれぬ」「いや...
吉川英治 「私本太平記」
...再三拝辞することの畏(おそ)れ多さに...
吉川英治 「源頼朝」
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