...今の道徳からいったら人情本の常套(じょうとう)の団円たる妻妾の三曲合奏というような歓楽は顰蹙(ひんしゅく)すべき沙汰(さた)の限りだが...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...或ひは何の人氣取りめがと顰蹙します...
太宰治 「お伽草紙」
...顰蹙(ひんしゅく)して一語を発せず...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...山が迫り谷が蹙つてその本質を発揮すると思ふ...
種田山頭火 「旅日記」
...それにしても此処にやつて来てこれを見たら何う思ふだらう? この蒙古風に逢つたら何と言つたらう? あの眉を蹙めるだらう...
田山録弥 「犬」
...(一九三二・九・八)世人の顰蹙一...
戸坂潤 「社会時評」
...今の泄冶がもし眼前の乱倫に顰蹙(ひんしゅく)して身を退いたとすれば...
中島敦 「弟子」
...其(そ)の蒸氣(ゆげ)の中(なか)に月(つき)が一瞬間(しゆんかん)目(め)を蹙(しか)めて直(すぐ)につやゝかな姿(すがた)に成(な)つた...
長塚節 「土」
...「なあに管(かま)あねえ」後(あと)から目(め)を蹙(しか)めながら一人(ひとり)が首筋(くびすぢ)まで沈(しづ)んだ...
長塚節 「土」
...彼(かれ)がふと思(おも)ひ出(だ)したやうに狹(せま)い戸口(とぐち)を開(あ)けて明(あか)るい外(そと)の埃(ほこり)に目(め)を蹙(しが)めて出(で)て行(い)つた時(とき)與吉(よきち)は慌(あわたゞ)しく飯臺(はんだい)の蓋(ふた)をした處(ところ)であつた...
長塚節 「土」
...丸太(まるた)の端(はし)を切(き)り放(はな)した腰掛(こしかけ)に身體(からだ)を据(す)ゑて其(そ)の窶(やつ)れた軟(やはら)かな目(め)を蹙(しか)めて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...おいよさんが嫣然とする時には屹度口が小さく蹙まつて鼻の処に微かな皺が寄るのであつた...
長塚節 「隣室の客」
...喧嘩と猥談にのみ長けた大生臭だ――と顰蹙するのであつたが...
牧野信一 「心象風景」
...顏を蹙(しか)めた妹の苦しげな樣を見下ろしてゐた...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...」博士は眉を蹙めた...
森鴎外 「半日」
...十二使徒(しと)の人々も顰蹙(ひんしゅく)して...
吉川英治 「神州天馬侠」
...人をして頗(すこぶ)る恐れさせたり顰蹙(ひんしゅく)させるような形になった...
吉川英治 「源頼朝」
...波越の二同心もかたずを嚥(の)んで彼の一顰一蹙(いっぴんいっしゅく)を見まもっていた...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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