...僕は最も調和のとれた独歩を――或は最も幸福だつた独歩を「鹿狩り」等の小品に見出してゐる...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...そういう調和のとれた隙のないこの洋間に...
海野十三 「四次元漂流」
...平日の働きが自ずから調和のとれた働きである時に初めてそれだけの緊張を予想することが出来るのであって...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...同様に彼女自身が調和のとれた内装の最高の一部となるであろうことも疑いなかった...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「長い部屋」
...五十四という年齢に似合わぬ調和のとれた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」
...その姿体は調和のとれた豊満さをそなえていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...まず調和のとれたところだろう...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...できれば静かに調和のとれたものとして迎へたい...
原民喜 「死について」
...このような調和のとれた忍辱(にんじょく)の世界に到達したのであろう...
久生十蘭 「キャラコさん」
...そうしていたら、調和のとれた、こんなにもおだやかな世界で、楽しく二人でやっていけたのにと思って……思いきって、こちらへいらしたら? そんなつまらないところに、未練なんかあるわけはないでしょう」白川はタジタジになって、「行けるものなら、すぐにも行きたいくらいだが、ちょっと、そこのところが、どうも」と逃げだしにかかった...
久生十蘭 「雲の小径」
...それでいて見事に調和のとれた心と相容れない...
平林初之輔 「ホオムズの探偵法」
...わたしは古い石燈籠が一つほしいのです苔のある古い土と調和のとれた純日本風な石燈籠がどつしりと据ゑたいのです楓と杏とのの陰に――...
室生犀星 「星より來れる者」
...背丈も低いほうであるが、調和のとれた、かたちのいい躯(からだ)つきで、立ち居の姿に下町ふうの嬌(なま)めかしさと、かなり濃厚ないろけが感じられ、それが他の六人のなかで際立ってみえた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...画面全体が快く調和のとれた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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