...路地一帶の光景は案外遠くの方まで見通すことができる...
心猿 「荷風翁の發句」
...相手の懐(ふところ)加減を見通す位は何でもなくなるが...
薄田泣菫 「茶話」
...それは矢張り彼の犀利な目が見通す現実であつた...
徳田秋聲 「和解」
...寝間着のような長い仕事着をつけてる製本女工ら――飢えた眼つきで通りがかりの人の肉体まで見通す...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...つぎには見通すことのできない一面の灰色の雲がスイスの濡(ぬ)れて震えてる谷間の上にのしかかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...オーステルリッツ橋をすっかり見通すことができた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...すべてが決せんとするその一郭の見通すべからざる暗黒のうちには...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...換言すればその要素の中に複合構成の全貌を見通すところのものが含まれている...
中井正一 「レンズとフィルム」
...玉蜀黍(とうもろこし)の茎は倒れて見通す稲田の眺望は軟かに黄ばんで来た...
永井荷風 「草紅葉」
...外へ出て広い路を岡の上まで見通すと...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...町一杯に見通す位置に身を潜めて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たといそれが自分で見通すことができる限りでも役所の組織を明らかに破壊してしまうとしても...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...事情に明るい者にすらすっかり見通すことはできない...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...あそこからなら台所の中の手細工(オペラチオン)をひと眼で見通すことが出来るだろう」四つの影は縦列をつくって...
久生十蘭 「魔都」
...闇太郎は、彼独特の、闇を見通す程の、鋭敏な心の目で、一切を見抜いてしまうと、門倉平馬の後について、三斎屋敷へなぞ、はいり込んでしまった自分が、身に汚れでもついたように、悔いられて来るのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...透かし見通す清浄玻璃(せいじょうはり)の...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...刹那(せつな)に永遠を見通す目...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...武大の家には町中の目が見通す節穴でもあるような騒ぎだし...
吉川英治 「新・水滸伝」
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