...昨夜はたしか各室――というほどのものでもないが、ちゃんと見廻り、人気のないのを見定めた上、床についたのだったが……...
海野十三 「深夜の市長」
...念のため女湯の方を見廻りたいと思った...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...魔法使いの婆さんが見廻りに来ました...
太宰治 「ろまん燈籠」
...東西五人ずつの非常見廻りの交替と引きつぎの事務は済んでしまったもので...
中里介山 「大菩薩峠」
...この見廻りの連中を斬ってみようとのためでないことは...
中里介山 「大菩薩峠」
...舎監の先生がときどき見廻りにきて窓越しにじろじろ見回って行く...
中谷宇吉郎 「若き日の思い出」
...私は旦那が見廻りに來たのかと思つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...九如是我聞(によぜがもん)、仏説阿弥陀経(ぶつせつあみだけう)、声は松風に和(くわ)して心のちりも吹払はるべき御寺様(おんてらさま)の庫裏(くり)より生魚(なまうを)あぶる烟(けぶ)なびきて、卵塔場(らんたうば)に嬰子(やや)の襁褓(むつき)ほしたるなど、お宗旨によりて搆(かま)ひなき事なれども、法師を木のはしと心得たる目よりは、そぞろに腥(なまぐさ)く覚ゆるぞかし、龍華寺の大和尚(だいおしよう)身代と共に肥へ太りたる腹なり如何(いか)にも美事に、色つやの好(よ)きこと如何なる賞(ほ)め言葉を参らせたらばよかるべき、桜色にもあらず、緋桃(ひもも)の花でもなし、剃(そ)りたてたる頭(つむり)より顔より首筋にいたるまで銅色(あかがねいろ)の照りに一点のにごりも無く、白髪(しらが)もまじる太き眉(まゆ)をあげて心まかせの大笑ひなさるる時は、本堂の如来(によらい)さま驚きて台座より転(まろ)び落給(おちたま)はんかと危ぶまるるやうなり、御新造(ごしんぞ)はいまだ四十の上を幾らも越さで、色白に髪の毛薄く、丸髷(まるまげ)も小さく結ひて見ぐるしからぬまでの人がら、参詣人(さんけいにん)へも愛想よく門前の花屋が口悪る嚊(かか)もとかくの蔭口(かげぐち)を言はぬを見れば、着ふるしの裕衣(ゆかた)、総菜(そうざい)のお残りなどおのづからの御恩も蒙(かうむ)るなるべし、もとは檀家(だんか)の一人成しが早くに良人(おつと)を失なひて寄る辺なき身の暫時(しばらく)ここにお針やとひ同様、口さへ濡(ぬ)らさせて下さらばとて洗ひ濯(そそ)ぎよりはじめてお菜ごしらへは素(もと)よりの事、墓場の掃除に男衆(おとこしゆ)の手を助くるまで働けば、和尚さま経済より割出しての御不憫(ごふびん)かかり、年は二十から違うて見ともなき事は女も心得ながら、行(ゆ)き処(どころ)なき身なれば結句よき死場処と人目を耻ぢぬやうに成りけり、にがにがしき事なれども女の心だて悪るからねば檀家の者もさのみは咎(とが)めず、総領の花といふを懐胎(もうけ)し頃、檀家の中にも世話好きの名ある坂本の油屋が隠居さま仲人(なかうど)といふも異な物なれど進めたてて表向きのものにしける、信如もこの人の腹より生れて男女(なんによ)二人の同胞(きようだい)、一人は如法(によほう)の変屈ものにて一日部屋の中にまぢまぢと陰気らしき生(むま)れなれど、姉のお花は皮薄(かわうす)の二重腮(にぢうあご)かわゆらしく出来たる子なれば、美人といふにはあらねども年頃といひ人の評判もよく、素人(しろうと)にして捨てて置くは惜しい物の中に加へぬ、さりとてお寺の娘に左(ひだ)り褄(づま)、お釈迦(しやか)が三味(しやみ)ひく世は知らず人の聞え少しは憚(はば)かられて、田町(たまち)の通りに葉茶屋の店を奇麗にしつらへ、帳場格子のうちにこの娘(こ)を据へて愛敬を売らすれば、秤(はか)りの目はとにかく勘定しらずの若い者など、何がなしに寄つて大方毎夜十二時を聞くまで店に客のかげ絶えたる事なし、いそがしきは大和尚、貸金の取たて、店への見廻り、法用のあれこれ、月の幾日(いくか)は説教日の定めもあり帳面くるやら経よむやらかくては身躰(からだ)のつづき難しと夕暮れの椽先(ゑんさき)に花むしろを敷かせ、片肌ぬぎに団扇(うちわ)づかひしながら大盃(おほさかづき)に泡盛(あわもり)をなみなみと注(つ)がせて、さかなは好物の蒲焼(かばやき)を表町のむさし屋へあらい処をとの誂(あつら)へ、承りてゆく使ひ番は信如の役なるに、その嫌やなること骨にしみて、路を歩くにも上を見し事なく、筋向ふの筆やに子供づれの声を聞けば我が事を誹(そし)らるるかと情なく、そしらぬ顔に鰻屋(うなぎや)の門(かど)を過ぎては四辺(あたり)に人目の隙(すき)をうかがひ、立戻つて駈け入る時の心地、我身限つて腥(なまぐさ)きものは食べまじと思ひぬ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...非時の見廻りをする兵隊...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...見廻りにいってみると...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...なかまのものが見廻りに出て来たときそいつを捕える...
山本周五郎 「風流太平記」
...あの秀という男が戻ってからどんな事があるかもわかりませんからね」秀は伝次と組んで見廻りに出るのである...
山本周五郎 「風流太平記」
...町見廻りの旦那衆にぶつかってしまったので...
吉川英治 「魚紋」
...五人の足軽(あしがる)をつれて見廻りにきたが...
吉川英治 「神州天馬侠」
...見廻りに来たぞ」「あ...
吉川英治 「新書太閤記」
...見廻りにあるいた騎馬の城士が...
吉川英治 「新書太閤記」
...自分勝手にこうして見廻りに歩いているのでございますから...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...また見廻り役人の提灯(ちょうちん)が来るようだ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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