...ここには薔薇色をした微温湯(ぬるまゆ)の噴泉が菫(すみれ)の薫りをくゆらせつつ噴き上っているのであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...それよりももっと規模の大きな微温室(テピダリウム)……油湯(エレオテジウム)……塗膏室……納涼室(ラコニクム)……化粧室……菫(すみれ)の薫りのする清冽な水を噴き上げている屋内噴水池……...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...たしか浅井和田両画伯の合作であったかと思うがフランスのグレーの田舎へ絵をかきに行った日記のようなものなども実に清新な薫りの高い読物であった...
寺田寅彦 「明治三十二年頃」
...其薫りクロニオーンの青銅の戸を備へたる宮の中...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...背には無限の天(てん)を負ひ緑雲はねにつんざきて飛び行くはてはいづくぞや望のあした持ち來る高き薫りのあとゝめて大空めぐる鷲一羽あらしはつらし道すごし...
土井晩翠 「天地有情」
...心ごゝろの春去りて色こと/″\く褪めはてつ夕波寒く風たてば行衞や迷ふ花の魂名殘の薫りいつしかに水面遠く消えて行く...
土井晩翠 「天地有情」
...春の歩みのつくところ地に花薫り草いろひ...
土井晩翠 「天地有情」
...冬はあしたのあけのいろ色無き空に色ありて雪の梢に梅薫り...
土井晩翠 「天地有情」
...すがすがしい薫りがする...
中勘助 「島守」
...君が薫りを徒らに...
永井荷風 「舞姫」
...かすかに細卷きのうすけむりがかすめた薫りが殘つてゐるやうな...
長谷川時雨 「春」
...それは神聖な薫りといふよりも...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...夢の中からでも薫りだしたといふやうに咲き...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...半年振りで会うお久美さんの体の中には先にもまして熟れたリンゴの様な薫りが籠って居る様で...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...かすかないい薫りを夏は送りたいと考案中です...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...仄かな草の匂ひやしめやかな木立の薫りや眼には見えない虫の気配のある中を静かに樹蔭を歩いてゆくと時どきあちらにもこちらにも噴水が見えて...
三好達治 「測量船拾遺」
...郷土的薫り、地方的彩り、このことこそは工芸に幾多の種を加へ、味はひを添へる、天然に従順なるものは、天然の愛を享ける...
柳宗悦 「雑器の美」
...特に「山村の人と四季」の一章の如きは、山村の風光ばかりでなく、草木の薫り、人間の動き、動物の呼吸さへも身近く感ずるほどの、細かな感知性を示してゐる...
吉江喬松 「山岳美觀」
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