...下駄の音がゾロ/\と縺(もつ)れる...
石川啄木 「鳥影」
...それと見ると、簑(みの)を絞って棄てました、お道さんが手を添えながら、顔を見ながら、搦(から)んで、縺(もつ)れて、うっかりしたように手伝う姿は、かえって、あの、紫の片袖に魂が入って、革鞄を抜けたように見えました...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...篠懸(すゞかけ)の葉は翼(つばさ)撃(う)たれし鳥に似て次々に黒く縺れて浚はれゆく...
伊東静雄 「詩集夏花」
...魚は仲間同士で抱きあつたり縺れあつたりするやうに水をびちや/\と云はして体を搦ましあつた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...ルミーさん」「明後日東京へ着きますねえ」ミョウゴニチと云うローゼマリーの発音が舌に縺(もつ)れるせいもあるが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...また明るい影と暗い影と互に縺(もつ)れ合つた生活をしたものはないであらう...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...又(また)は懶惰女(ぶしゃうをんな)の頭髮(かみのけ)を滅茶滅茶(めちゃめちゃ)に縺(もつ)れさせて...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...軛(くびき)きしりて綱縺(もつ)る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...それから寒い通りを縺(もつ)れ合って歩いていた...
徳田秋声 「足迹」
...縺(もつ)れた髪を描く...
夏目漱石 「虞美人草」
...窓から射(さ)し込む柔かな陽光が縺(もつ)れ...
原民喜 「秋日記」
...令孃(ひめ)の情緒(こヽろ)いかに縺(もつ)れけん...
樋口一葉 「曉月夜」
...解いてやろうとする脚絆(きゃはん)の紐(ひも)が縺(もつ)れるのだ...
本庄陸男 「石狩川」
...引毛の毛筋に縺れてブラ/\してゐるのです...
松本幸四郎 「大森彦七と名和長年」
...意地わるく言葉は縺れて...
水野仙子 「道」
...万一この縺(もつ)れによって...
夢野久作 「名君忠之」
...投扇興(とうせんきょう)ふと――刀の柄糸(つかいと)の縺(ほつ)れを見つけて...
吉川英治 「江戸三国志」
...縺れ合う建物群全体を覆う風化作用はぞっとする程で...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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