...北上川に縺(もつ)れて逶(うねうね)と北に走つた...
石川啄木 「天鵞絨」
...私の頭の中で二つのものが縺(もつ)れ合つて私をいろいろに迷はして居ります...
伊藤野枝 「従妹に」
...縺れ絲でも切るやうに...
今井邦子 「誠心院の一夜」
...どうも時々腹が痛くつて」と文太郎は又縺れる舌で言つた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...鮭の腹から出た蕎麦切が縺れ合って見えていた...
田中貢太郎 「鮭の祟」
...黒い渦巻を作って縺れあった三人の口からは野獣のような呻(うめ)きが聞えた...
田中貢太郎 「春心」
...いやいや長い間の気の縺(もつ)れに今は精神が疲労しきっている...
近松秋江 「霜凍る宵」
...縺れた頭をして、胸のあたりをたばけ、真っ赤な手で洗濯の水をザブザブとあたりに跳ねかしながら、彼女は大声で長屋の連中と話をするようになった...
――モウパンサン―― 辻潤訳 「頸飾り」
...糸が縺(もつ)れたように紛糾(こぐらか)っていた...
徳田秋声 「新世帯」
...その縺れに巻き込まれそうな気がした...
豊島与志雄 「林檎」
...鎖が縺(もつ)れあって...
久生十蘭 「地底獣国」
...どっこいそうは行かないで――いよいよ縺(もつ)れるばかりだった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...手に手を取って、縺れあいながら、二人は階段を上るのに四半時(とき)も手古摺っていたが、それでもやっとのことで二階へ這いあがった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...という一定の観念の上に立って現実にはごたつく気持の縺(もつ)れ合(あ)いに身をまかせ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...魏延の舞に縺(もつ)れて...
吉川英治 「三国志」
...宿酔の頭は妙に縺(もつ)れ...
蘭郁二郎 「自殺」
...拍手の音が、ようやく静まって来るとブランコの上の、二つの肉体は、縺(もつ)れ合うように極めて徐々に注意深く動いていたが、すぐその縺れが、解けたのを見ると、葉子は、脚でブランコの綱をからんで、垂下り、そのほの白い手の先きには黒吉が、足を吊されて伸び伸びと、ぶら下っていた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...のろり/\と大きな七五三繩(しめなわ)の繩片のやうな奴が縒(よ)れつ縺(もつ)れつ岩から岩の蔭を傳うて泳ぎります...
若山牧水 「樹木とその葉」
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