...それが秋らしい狭霧(さぎり)となって...
有島武郎 「或る女」
...牧場や稲田から静かに狭霧(さぎり)が立ちのぼり...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...今日もまた狭霧(さぎり)にすっぽりと包まれて...
大阪圭吉 「闖入者」
...私の方からは眩(まぶ)しい黄金色の光芒の中に狭霧(さぎり)のように朦朧(もうろう)とこの三人の姿は映っているのであった...
橘外男 「逗子物語」
...霞の春に、狭霧の秋に、鷹の台のリンクスで、両三度手合せをした楽しい思出も、その人既に逝いて、今や寂寞たる別離の悲しみが一しほ身に沁みる...
辰野隆 「旧友の死」
...その屋内にはいつもこう云う闇が狭霧の如く立ち罩(こ)めていたのであろう...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...三年の幻影はかわるがわる涙の狭霧(さぎり)のうちに浮かみつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
......
内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...見る見る狭霧(さぎり)の中に隠れて行く...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...しきりに俺がそんな事を考えつづけていると……狭霧を分けて...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...第十駆逐隊「狭霧」「漣」「暁」を随へ...
牧野信一 「緑の軍港」
...いつまでも狭霧(さぎり)の霽(は)れぬ朝で...
山本周五郎 「菊屋敷」
...重い狭霧(さぎり)がしつとりと花に降るよな肌ざはり...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...まだ海上はいちめんな狭霧(さぎり)だが...
吉川英治 「私本太平記」
...水のおもての狭霧(さぎり)には...
吉川英治 「新・水滸伝」
...狭霧(さぎり)の薄戦衣(うすごろも)に...
吉川英治 「新・水滸伝」
...冬の狭霧(さぎり)がまだ深くて頂上からの眺望も模糊(もこ)としてただ寒さにふるえ上がるばかりだったが...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...夜の狭霧(さぎり)を見ていると...
吉川英治 「宮本武蔵」
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