...まだ晴れきらない狭霧(さぎり)をこめた空気を通して...
有島武郎 「或る女」
...今日もまた狭霧(さぎり)にすっぽりと包まれて...
大阪圭吉 「闖入者」
...妖気狭霧(さぎり)のごとくに立ち罩(こ)めて...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...そこへ足音もたてずにまるで陽炎(かげろう)か狭霧(さぎり)のようにしのびやかにはいってきたものがありました...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...狭霧(さぎり)の中に迷うように...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...三年の幻影はかわるがわる涙の狭霧(さぎり)のうちに浮かみつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...うっすらと狭霧の立ちこめる朝などに...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...見る見る狭霧(さぎり)の中に隠れて行く...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...全面から蓬々と冷たい狭霧を吐く...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...立ち迷う狭霧の奥から...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...しきりに俺がそんな事を考えつづけていると……狭霧を分けて...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
......
野口雨情 「おさんだいしよさま」
...四辻(よつつじ)はひとしきり工場から吐き出される職工等の足埃(あしぼこり)で狭霧(さぎり)に襲はれたやうにけむつた...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...それを乗せて往く大きな船も櫓拍子(ろびょうし)のするたびに狭霧(さぎり)の中に蔽(おお)われてしまう,ああ船は遠ざかるか...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...はるかに狼(おおかみ)が凄味の遠吠(とおぼ)えを打ち込むと谷間の山彦がすかさずそれを送り返し,望むかぎりは狭霧(さぎり)が朦朧(もうろう)と立ち込めてほんの特許に木下闇(こしたやみ)から照射(ともし)の影を惜しそうに泄(も)らし...
山田美妙 「武蔵野」
...林の中はただ狭霧と雨とのみ...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
...狭霧(さぎり)が多いので...
吉川英治 「私本太平記」
...冬の狭霧(さぎり)がまだ深くて頂上からの眺望も模糊(もこ)としてただ寒さにふるえ上がるばかりだったが...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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