...その濃緑の帷(とばり)からは何処ともなく甘い香りと蜂の羽音とがあふれ出てひそやかな風に揺られながら私を抱き包んだ...
有島武郎 「フランセスの顔」
...濃緑(こみどり)の襟巻に頬を深く...
泉鏡花 「薄紅梅」
...濃緑色と暗褐色のだんだらに塗られた...
海野十三 「宇宙戦隊」
...――濃緑の壁掛けの垂れ下がった小室のなかで――秘密に...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...凄いほど青い水が岩を※(ひた)してゐる處に濃緑色の影を翳(かざ)してゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...塵埃にくすぶった草木の葉が洗われて美しい濃緑に返るのを見ると自分の脳の濁りも一緒に洗い清められたような心持がする...
寺田寅彦 「やもり物語」
...黒(くろ)と見(み)えるほどの濃緑色(のうりょくしょく)は...
新美南吉 「ごんごろ鐘」
...島の濃緑な色を眺めて...
林芙美子 「浮雲」
...中でも崇福寺(すうふくじ)の丹朱の一峰門が山々の濃緑から抽(ぬき)ん出て...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...苔のやうな美しい濃緑色の芝生は小さな白い花で細かく飾られ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...夏(なつ)の濃緑(こみどり)がすんだ後(のち)の秋(あき)の林(はやし)の紅葉(もみぢ)の景色(けしき)も...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...この間うちから目星をつけておいた濃緑地に虹色の模様で唐草風を織り出したネクタイを一本購つた...
牧野信一 「女に臆病な男」
...春曙の薄桃いろの薄紫の濃緑の水浅黄の橙いろのいろいろさまざまの彩雲(いろぐも)が...
正岡容 「小説 圓朝」
...でき得る限り濃緑化する...
三澤勝衛 「自力更生より自然力更生へ」
...久しく濃緑の美しい泡をすゝつたことがなかつた...
室生犀星 「京洛日記」
...濃緑に白く粉をふいたような...
山本周五郎 「竹柏記」
...……濃緑の厚い天鵞絨(びろうど)のような苔に包まれた井戸...
山本周五郎 「日本婦道記」
...かたぶとりな肉塊(ししむら)を濃緑(こみどり)の緞子(どんす)の戦袍(せんぽう)でくるみ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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