...温厚な職務に就きたい」というておった...
愛知敬一 「ファラデーの伝」
...温厚なる君子人也...
大町桂月 「足柄の山水」
...新田といふ二十五歳の温厚な青年が...
太宰治 「富嶽百景」
...温厚なる井沢判事は...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...二人の間はそれ以上には進まなかったが、私は彼の労働者のような体躯と、温厚な、純な顔には段々親しみを増して行った...
辰野隆 「二人のセルヴィヤ人」
...至って温厚な性質だったのだが...
豊島与志雄 「怒りの虫」
...平素は温厚な男だが……...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...而も平素は温厚な好々爺である...
豊島与志雄 「条件反射」
...名古屋に人間無きかの如くコキ下ろすのはいいとしても、ここの城主、御三家の一なる御代々をとらえて、噛んで吐き出すようなる悪態が口をついて来たものだから、老巧なのが咳払いをしたぐらいでは追附かず、「こいつは途方もない」「馬鹿!」「気狂(きちが)いだっせ――」場内ようやく騒然として、掴(つか)みかかる勢いを為したものが現われ出したのは、それはまさに、そうあるべきことで、温厚なる医者と、学生を中心とした席であればこそ、ここまでこらえて来たようなものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...温厚な感を蓄える事もありましょう...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...温厚なチャイコフスキーもさすがに腹(はら)に据えかねて...
野村胡堂 「楽聖物語」
...鳶色の温厚な顔に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...しらが頭のごく温厚なひとであった...
山本周五郎 「桑の木物語」
...無力で、温厚な父、……どんなに辛く、苦しく、くやしいことだったろう...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...あなたのご存じなのは、それだけであろうが、もっと痛心に耐えないことが起っている」「何です? これ以上、痛心にたえないこととは」「故太守が亡くなられて、まだ墳墓の土も乾かないうち、この荊州九郡をそっくり挙げて、曹操へ降参の書を呈したという一事です」「えっ、ほんとですか」「偽りはありません」「それが事実なら、なぜ貴君には、直ちに、喪(も)を弔(とむら)うと号して、襄陽に行き、あざむいて幼主劉をこちらへ、奪い取り、蔡瑁、蔡夫人などの奸党閥族(かんとうばつぞく)を一掃してしまわれないのですか」日頃、温厚な伊籍すら、色をなして、玄徳をそう詰問(なじ)るのであった...
吉川英治 「三国志」
...甚だ温厚な物ごしで告げた...
吉川英治 「新書太閤記」
...声までが低めで温厚な女性音をふくんでいる...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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