...温厚な職務に就きたい」というておった...
愛知敬一 「ファラデーの伝」
...温厚なる君はこの言葉の残酷(ざんこく)を咎(とが)めるのに違いない...
芥川龍之介 「第四の夫から」
...この學者――實際この人は、何事にも退嬰的な態度をとることと、その癖平生は人の意見には頓着なしに自分の言ひたいことだけを言ふといつた風な傾きのあることとの二つの學者的な習癖を除いては、殆ど全く非難すべき點のない、温厚な、勤勉な、頭の進んだ學者で、現に東京帝國大學に講師となり、繁劇な新聞の仕事をやる傍ら、其處の商科に社會學及社會政策の講義をしてゐるが、しかしその最も得意とする處は寧ろ國際法學であつて、特にその米國に關する國際法に於ては自分が日本のオオソリチイであると、嘗て彼自ら子供らしい無邪氣を以て語つたことがあつた...
石川啄木 「A LETTER FROM PRISON」
...その頃の――殊に若年であった私の目に映じた――漱石氏は非常に温厚な紳士的態度の長者らしい風格の人のように思われた...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...温厚なる井沢判事は...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...あの温厚な友田君が舞台度胸を末期まで...
辰野隆 「旧友の死」
...他の温厚な社員を選んでしまった...
豊島与志雄 「電車停留場」
...彼女はいつも温厚なるべく定められていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...引込んでおいでなさい」そう言って温厚なのは離れて弁信をなだめているが...
中里介山 「大菩薩峠」
...温厚な感を蓄える事もありましょう...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...人の良い温厚な顔に困惑の色をうかべながら...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...会うと、温厚な、いかにも口数のすくない人で、一応フロイドと私との交際のことなど訊ねたのち、日本の文壇の近状など――と云って、私には雑誌で知っただけのものだが、それを書けるかときいた...
前田河広一郎 「ニュー・ヨーク 『青春の自画像』より」
...きわめて温厚な紳士であらせられるその兄君の御依頼によって...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...婿さんの新吉さんは五ツちがいの今年二十八で申分のない温厚な銀行員...
矢田津世子 「神楽坂」
...「おめえにも肝煎るだな」と温厚な父親は云った...
山本周五郎 「青べか物語」
...ごく温厚な但しそれだけの人であったが...
山本周五郎 「竹柏記」
...温厚な同君は纔かに微笑して...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...甚だ温厚な物ごしで告げた...
吉川英治 「新書太閤記」
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