...温厚な職務に就きたい」というておった...
愛知敬一 「ファラデーの伝」
...あの温厚な友田君が舞台度胸を末期まで...
辰野隆 「旧友の死」
...二人の間はそれ以上には進まなかったが、私は彼の労働者のような体躯と、温厚な、純な顔には段々親しみを増して行った...
辰野隆 「二人のセルヴィヤ人」
...何しろあの温厚な紳士らしい人がひどく怒って...
谷崎潤一郎 「細雪」
...温厚な人である...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...至って温厚な性質だったのだが...
豊島与志雄 「怒りの虫」
...あの温厚な高木にそんな臨機な才能があろうとは...
豊島与志雄 「好人物」
...そしてその人々は温厚な心で...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...他の温厚な社員を選んでしまった...
豊島与志雄 「電車停留場」
...温厚なる二重瞼(ふたえまぶた)と先が少々逆戻りをして根に近づいている鼻とあくまで紅(くれな)いに健全なる顔色とそして自由自在に運動を縦(ほしい)ままにしている舌と...
夏目漱石 「倫敦消息」
...温厚なチャイコフスキーもさすがに腹(はら)に据えかねて...
野村胡堂 「楽聖物語」
...西隣りの洋館に住んでゐる温厚な文学士が...
牧野信一 「蝉」
...鳶色の温厚な顔に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...きわめて温厚な紳士であらせられるその兄君の御依頼によって...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...荒いこえもたてない温厚なひとだったが...
山本周五郎 「日本婦道記」
...靱負はごく温厚な...
山本周五郎 「日本婦道記」
...此(この)ロオド・ピサロオ君は有名な風景画家故ピサロオ氏の息子で温厚な青年画家である...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...あなたのご存じなのは、それだけであろうが、もっと痛心に耐えないことが起っている」「何です? これ以上、痛心にたえないこととは」「故太守が亡くなられて、まだ墳墓の土も乾かないうち、この荊州九郡をそっくり挙げて、曹操へ降参の書を呈したという一事です」「えっ、ほんとですか」「偽りはありません」「それが事実なら、なぜ貴君には、直ちに、喪(も)を弔(とむら)うと号して、襄陽に行き、あざむいて幼主劉をこちらへ、奪い取り、蔡瑁、蔡夫人などの奸党閥族(かんとうばつぞく)を一掃してしまわれないのですか」日頃、温厚な伊籍すら、色をなして、玄徳をそう詰問(なじ)るのであった...
吉川英治 「三国志」
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