...実に渋い鄙(ひな)びた橋や...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...渋い芸も派手な芸も...
太宰治 「禁酒の心」
...私にはただ甘渋いだけで...
豊島与志雄 「絶縁体」
...それから塗りがこの通りの渋い三斎好み...
中里介山 「大菩薩峠」
...それじゃ遠慮なくいただきますよ」平次は渋い茶を呑んで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...縞物の渋い袷(あわせ)を着たのが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...銹(さび)た渋いのどで唄の素稽古(すげいこ)をする...
長谷川時雨 「神田附木店」
...サト子は、渋い顔になって、返事をせずにいると、愛一郎は、サト子の顔色にとんちゃくなく、「パパは、なにか、まずいことを言って、あなたを怒らせたのでしょう……パパってひとは、そういうときには、かならずヘマをやるんだから……」そう言いながら、四阿のガラスの囲い越しに、灯影(ほかげ)の洩れる客間のほうを指さした...
久生十蘭 「あなたも私も」
...コラ織らしい渋い幅広襟飾という...
久生十蘭 「復活祭」
...なかなか渋い声で...
火野葦平 「糞尿譚」
...妙な渋い顔色して内実プリ/\怒ると云うような事は決してない...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...極く渋いものではあるが中々野心的なものである...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...ゆくゆくは自分に似た渋い男と結婚してくれることだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...七郎兵衛は渋い顔をして立ちあがった...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...絵描きの常さん、版木彫りの源さんは、ともに五十がらみでともに独身、いつも「この世界がひっくり返ればいい」とでも云いたげな、渋い顔をしてい、どちらも、自分は江戸一番の職人だ、という自信を躯いっぱいに詰め込んでいるようにみえた...
山本周五郎 「へちまの木」
...すぐ馘(くび)になった渋い辛さの表現の仕様がないらしい...
横光利一 「夜の靴」
...どうした? また下らねえ揉(も)めごとでも背負いこんで来たのじゃねえか」と渋い博多(はかた)の帯に大島紬(おおしまつむぎ)の着流しで...
吉川英治 「剣難女難」
...町方の女房娘、若衆芸妓の花見小袖、目かつらの道化、渋い若旦那、十徳の老人、武家は編笠、町奴は落し差し、猫も杓子(しゃくし)も、ぞろぞろと東叡山(とうえいざん)上野の丘へ登って行く...
吉川英治 「剣難女難」
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