...そして流し場へきちやうめんに坐つて手をついた...
薄田泣菫 「茶話」
...かまとこをぬけて流し場の方へ手を洗いにいった...
壺井栄 「大根の葉」
...裸の胸に両腕を組んで漠然とした眼を流し場に向けて居たが...
富田常雄 「刺青」
...ミチは熱い浴槽から出た薔薇(ばら)色の肉体をタイル張(ばり)の流し場にぐったりと投げ出す...
富田常雄 「刺青」
...みんな流し場に出てしまう時と...
豊島与志雄 「或る素描」
...今日午後、あなたは見当り次第の銭湯にとびこみましたね、広い流し場で、客は一人きりなく、午後の日脚が硝子戸からさしこんで、湯気がほんのりたっていました...
豊島与志雄 「女と帽子」
...便所とそれから毎朝顔を洗う流し場の不潔が景物として附加えられてある...
永井荷風 「夏の町」
...ただ電燈の消えた湯屋の流し場の中で騒ぐのと同じことで...
中里介山 「大菩薩峠」
...流し場では、ざあざあと湯をふんだんに使える...
中谷宇吉郎 「温泉2」
...ゴシゴシと流し場の掃除に取掛る...
原民喜 「壊滅の序曲」
...どっと勝手の流し場へ駆けこんでしまった...
久生十蘭 「あなたも私も」
...その助五郎が明治湯(めいじゆ)の流し場に大胡座(おおあぐら)をかいて...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...浴槽のお湯が怒濤のように数回にわたってザブリザブリ流し場にあふれ出た物凄さと何が何やら訳も分からずにただ怖ろしさに養母の体に固くしがみついていた哀れな自分の姿だけである...
武者金吉 「地震なまず」
...見ると彼女は蛇紋石(じゃもんせき)の流し場に片手を支(つ)いたまま...
夢野久作 「鉄鎚」
...湯槽の縁から溢れ出る湯は同じくほがらかに日が當つて乾き切つてゐる流し場の一端に細い小波をたてゝ流れて行つてゐます...
若山牧水 「樹木とその葉」
...湯槽の向こうには肌ざわりのよさそうな檜の流し場が淡い色で描いてあり...
和辻哲郎 「院展遠望」
...西洋の風呂は、流し場を造って、あの湯槽(ゆぶね)に湯が一杯張れるようになおしさえすればいいのである...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...浴槽の外の流し場においてであろう...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索