...他(はた)で聞いてさへ氣羞かしくなる自惚れを語つたつて何うなる? 社の校正に此の頃妙な男が入つて來たらう? 此の間僕は電車で一緒になつたから...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...此の頃(ごろ)はトント素晴らしい受信機の発明もないのでネ...
海野十三 「壊れたバリコン」
...まことに此の頃(ごろ)のデンマークは...
太宰治 「新ハムレット」
...「そう云えば此の頃...
谷崎潤一郎 「蘿洞先生」
...「此の頃、警察がやかましいんですって...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...……つまり自分でも此の頃漸く...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...此の頃では世の中せち辛(から)くなって...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...寧ろ此の頃を以て日本の開國の紀元と略ぼ定める方が正當ではないかと思ふ...
内藤湖南 「日本上古の状態」
...「此の頃は、よく勉強してゐますか」頭の低い人間だけれど、やつぱりブルヂョアなのだ、見下ろすやうに奥さんは彼に言つた...
中原中也 「分らないもの」
...僕は此の頃鰡=おつとせいの信仰に...
新美南吉 「海から歸る日」
...多分此の頃から私を狂人扱いにしたらしいのです...
西尾正 「陳情書」
...此の頃新しくおこつた大日向教(おほひなたけう)とかの会計事務に勤めを持つやうになつた為である...
林芙美子 「浮雲」
...何時頃なのか、此の頃は、時計もないので、さつぱり時間に就いての観念がなかつた...
林芙美子 「浮雲」
...天候此の頃より次第におかしくなり...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...彼は此の頃これまでのすべてに何か行きづまりのやうなものを感じ...
堀辰雄 「萩原朔太郎」
...「私は此の頃、悪い悲痛に取りつかれている...
松永延造 「職工と微笑」
...その昔頼母しがられた頃はいざしらず、此の頃の、出たらめの、安受合の、ちやらつぽこだと思つてゐた久保田君が、尚斯くの如き靜寂至純なる藝術境を把持して、完全無缺な作品を發表し得る事の不可思議に驚いたのだ...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...此の頃ちっとも会わないので淋(さび)しくって仕様がない...
森本薫 「みごとな女」
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