...曾て或旅館で隣室のことに目がさめた時と同樣...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...曾ては、蠅男の捜査に、係官を指揮していた彼が、今は逆に位置をかえて、殺人容疑者として拘禁される身となった...
海野十三 「蠅男」
...曾てわれをして更に木曾の山水に憧(あく)がれしめたるもの...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...ちやんと大連からその手筈がしてあるのだから――魚惣といふ旅舎もかの女は曾て行つて知つてゐるのだから――電報が行き次第すぐ立つことになつてゐるんだから...
田山録弥 「海をわたる」
...是非ともみずからの曾ての革命的性格を振り落し...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...曾て自由黨の中堅たる土佐派すらも殆ど屏息して彼れの指命を受くるの止むを得ざるに至る...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...曾て之れが通過を計る為に熱心の尽力なく...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...富山房も大きな本屋ですが私が曾て春陽堂から出した「下谷叢話」を是非出さしてくれと云ふから改訂して出すと...
永井壮吉 「出版屋惣まくり」
...彼の論難にも曾て...
中里介山 「大菩薩峠」
...予曾て黎明リヰエラ・ヂ・レンテを過ぎて...
原勝郎 「足利時代を論ず」
...其規定に対して曾て異論を唱うるものなきのみか...
福沢諭吉 「新女大学」
...私はウラスマルが曾て不図(ふと)口走つた次の如き言葉の断片を懐かしい感じの内に想起し得る...
松永延造 「アリア人の孤独」
...曾て池田氏の事蹟を探討した経過を語つた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...渋江氏は曾てこれを蔵してゐたと云ふ...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...ただ辛うじて曾て有ったものを...
柳田國男 「夢と文芸」
...曾ての自然主義文芸がそうであったように……...
夢野久作 「探偵小説の真使命」
...未だ曾て聞いたこともない事実を...
蘭郁二郎 「脳波操縦士」
...二三ヶ月の間に町内の八百屋と肴屋とに出る外細君の外出姿を自分等は未だ曾て見かけたことがないのである...
若山牧水 「一家」
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