...この切口は決して岩角で擦り切れたものじゃない...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...ストリジルを使ったあとにタオルで擦り...
ジェイムズ・サンヅ・エリオット James Sands Elliott 水上茂樹訳 「ギリシャおよびローマ医学の概観」
...手擦りの取れかゝつたバルコニーには...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...年増の傍を擦り抜けて逃げ走つた...
田中貢太郎 「蟇の血」
...その人間を一尺の体にしてやれ」大異の体はまた石床の上へ引擦り倒されて...
田中貢太郎 「太虚司法伝」
...頬ぺたへ顔を擦りつけてお世辞を使ひながら...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...背を擦りながら潰えてしまった...
直木三十五 「南国太平記」
...しかもすっかり擦り切れている...
永井隆 「この子を残して」
...それを知ってたから彼に擦り寄ったんじゃない...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...大胆に振り廻しながら擦りきれた油布の上を駈けまわるたんびに...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...此のファインダーの擦り硝子へ映る小さい影像の方に...
松永延造 「職工と微笑」
...擦り切れた箒子(ほうき)を傍に立かけて...
松本泰 「日蔭の街」
...擦り空(へ)った石段の上に立った私は襟のつまった黒い服を着た老婦人に...
松本泰 「日蔭の街」
...「関西のなんとかっていう大資本家の先祖は」と彼は両手を擦り合せながらつぶやいた...
山本周五郎 「季節のない街」
...まるで化物屋敷だ」擦り剥いたところを縛るのだろう...
山本周五郎 「泥棒と若殿」
...この気力こそ難境を擦りぬける数字のごときものであろう...
横光利一 「北京と巴里(覚書)」
...擦りよって来てはまた笑うとどまりのない愛撫を感じて一層あたりが寂しくなった...
横光利一 「旅愁」
...そして彼等は長い間頭をつけ、頬を擦り寄せ、何の説明をする要もなく、何もものを言ふ必要もなく、そのまゝぢつとしてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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