...一層何かとこだわり易い親譲りの片意地を持合せていた...
芥川龍之介 「湖南の扇」
...何一つ女の心を惹く様な美点を持合していなかったではないか...
江戸川乱歩 「恐ろしき錯誤」
...足立氏は高知生れだけに武士魂を持合せてゐたが...
薄田泣菫 「茶話」
...富岡鉄斎の画を持合せてゐる男が鉄斎の画には随分贋造(にせ)が多いと聞いて...
薄田泣菫 「茶話」
...腹のなかで十八語ばかりの立派な挨拶を持合はせてゐるらしかつた...
薄田泣菫 「茶話」
...臍(へそ)の無い癖に人間並に一つは持合せてゐるらしい顔つきをしてゐるが...
薄田泣菫 「茶話」
...大阪生れの商人(あきんど)と同じやうに涙はほんの三粒程しか持合はさなかつた...
薄田泣菫 「茶話」
...旅費と閑暇(ひま)とはかなり持合はせてゐる人達の事とて...
薄田泣菫 「茶話」
...固より持合せは少かった...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...御馳走がまずく喰われるという幸運を持合せたのであろう...
寺田寅彦 「変った話」
...ということについても全然なんらの知識も持合わせていない...
寺田寅彦 「鴫突き」
...すると彼は現に自分が金の持合せを欠いていることに寂しさを感じた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...結局アメリカ式のプレスに依る大量生産設備に日本人でなくては持合せない手先の器用さを利用し併用しやうと考へ附いたのである...
豊田喜一郎 「プレスの操作に手工業を加味」
...みんなが持合せの影札を見比べて...
中里介山 「大菩薩峠」
...青年に諮(ただ)す勇気も持合せなかった...
橋本五郎 「自殺を買う話」
...百姓町人に利ける口の持合せはねえときまった...
三好十郎 「斬られの仙太」
...それも少々持合せ候とて...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書」
...このおやじの持合せですむなら...
吉川英治 「江戸三国志」
便利!手書き漢字入力検索