...思いさえすれば自分にはそれほどの事は手もなくしてのける事ができた...
有島武郎 「或る女」
...手もなく引退(ひきさが)った...
大阪圭吉 「石塀幽霊」
...河合は手もなく松平を負かして...
薄田泣菫 「古松研」
...女の方に特種な事情があったにしても手もなく女を得たと云うことが...
田中貢太郎 「蟇の血」
...父は手もなく、あの山師坊主に乗ぜられているのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...手もなくその一枚だけを悪女塚の台下から抜き取るということに意見も一致すれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...手もなく往来に敷いてある帯の上を踏んで向うへ越すのと同じ事です...
夏目漱石 「こころ」
...いかなる女も手もなく落ちて行くのが楽しみで...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...手もなく宝山(ほうざん)流の振(ふ)り杖(づえ)さ」「…………」「そこへ勇太郎が帰って来たので...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...手もなく乾かしてくれさうな氣がして...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...引取手もなく筵(むしろ)を掛けてある...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...永年同業で苦労したやうな人たちも就職を希望してゐて彼女は手もなく落されてしまつた...
北條民雄 「道化芝居」
...とうとう妾が手もなく負けてしまつたのかしら――斯んなに云つても未だお前の眼つきは...
牧野信一 「夜の奇蹟」
...手もなく宙に浮いているようなものだった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...小さい謙(けん)三郎は、手もなく、兄の紀(き)一郎に投げつけられて、強(したた)かに背を大地へ打ちつけた...
吉川英治 「剣の四君子」
...ほどこす手もなく...
吉川英治 「三国志」
...手もなく逃げてしまってさ……...
吉川英治 「新・水滸伝」
...こうして、名利と、結婚政策の両面から、護は、平氏の三家を、手もなく、常陸源氏の族党に加えてしまい、そしていまや、この地方随一の豪族中の長老として、たれも、威権をくらべうる者もない...
吉川英治 「平の将門」
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