...人間の中なる人間に愛憐(あいれん)を有するものにあらず...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...人間の中(うち)なる自然も又人間の中なる人間に愛憐を垂(た)るることなければなり...
芥川龍之介 「大正十二年九月一日の大震に際して」
...併し此熱は俺の愛憐の情を破壞し...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...愛憐(あいれん)の御手で...
高神覚昇 「般若心経講義」
...また微妙な愛憐(あゐれん)の情の訴でもある...
高村光太郎 「智恵子抄」
...乃(すなわ)ち鄭子(ていし)が九尾(きゅうび)の狐(きつね)に逢(あ)いて愛憐(あいれん)するが如(ごと)くなるを致す...
田中貢太郎 「牡丹燈籠 牡丹燈記」
...一層男の愛憐(あいれん)を唆(そそ)った...
徳田秋声 「あらくれ」
...」彼は愛憐(あいれん)の情に胸がいっぱいになった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...とかく己と段ちがひの劣弱者のみを愛憐するといふ人間一般のさもしい利己的な同情のもとにあつて天下に蟹本さんぐらゐ自由の天地をもつてるものはなかつた...
中勘助 「銀の匙」
...味わっても味わいつくせぬ愛憐を運んでいる...
中井正一 「探偵小説の芸術性」
...そんなものを上から眺めて神が愛憐の情をもよおし...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...彼女の病患に愛憐の気持ちを深めこそすれ...
中村地平 「悪夢」
...げにそのひとの心をながれるひとつの愛憐そのひとの瞳孔(ひとみ)にうつる不死の幻想あかるくてらされまたさびしく消えさりゆく夢想の幸福とその怪しげなるかげかたちああ そのひとについて思ふことはそのひとの見たる幻想の國をかんずることはどんなにさびしい生活の日暮れを色づくことぞいま疲れてながく孤獨の椅子に眠るときわたしの家の窓にも月かげさし月は花やかに空にのぼつてゐる...
萩原朔太郎 「青猫」
...みよ ひとつの魂はその上にすすりなきひとつの魂はその上に合掌するまでにいたるああかくのごとき大いなる愛憐の寢臺はどこにあるかそれによつて惱めるものは慰められ 求めるものはあたへられみなその心は子供のやうにすやすやと眠るああ このひとつの寢臺 あこがれもとめ夢にみるひとつの寢臺ああこの幻(まぼろし)の寢臺はどこにあるか...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...げにそのひとの心をながれるひとつの愛憐そのひとの瞳孔(ひとみ)にうつる不死の幻想あかるくてらされまたさびしく消えさりゆく夢想の幸福と...
萩原朔太郎 「定本青猫」
......
萩原朔太郎 「紫色の感情にて」
...僧侶は頻(しきり)にこの児に対して愛憐の情を催し...
穂積陳重 「法窓夜話」
...みじめなものに對する愛憐を感じてゐた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
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