...この世でのただ一人(ひとり)の秘蔵物として葉子の頭から足の先までも自分の誇りにしている婆やの切(せつ)ない心持ちは...
有島武郎 「或る女」
...あの水車番というのは実際このへんで珍しく心持ちのいい男だ...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...しかしながら僕はもう一度自分自身の心持ちを考えてみたい...
有島武郎 「片信」
...君自身の心持ちに...
林不忘 「安重根」
...どうしてもこれは吾々(われわれ)の間に厭な心持ちのすることが持ち上らずにはいない...
近松秋江 「うつり香」
...この絵に対する今の自分の心持ちがやはりいくらかこれに似ている...
寺田寅彦 「庭の追憶」
...しかしこのきかぬ気の勇敢な子猫に対して何かしら今までついぞ覚えなかった軽い親しみあるいは愛着のような心持ちを感じた...
寺田寅彦 「ねずみと猫」
...それで同じものを別々の眼で見守っているような心持ちが...
豊島与志雄 「恩人」
...心持ちからか特に空気が澄んだように思えて...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...私心持ちが悪くって……」三四郎は往来のまん中で助けなき苦痛を感じた...
夏目漱石 「三四郎」
...女は心持ち顋(あご)を襟巻(えりまき)の中に埋(うず)めて...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...そんな優しい心持ちの湧(わき)だすのを老伯自身さえ不思議に思ったほどであろう...
長谷川時雨 「芳川鎌子」
...随分思ひ切つたやうないゝ柄!」と立ちどまつた妻の言葉を遙かに遠いものでも眺めるやうな心持ちで聞いた...
水野仙子 「散歩」
...漢帝が北夷(ほくい)の国へおつかわしになった宮女の琵琶(びわ)を弾いてみずから慰めていた時の心持ちはましてどんなに悲しいものであったであろう...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...病人はちょいと胸を衝(つ)かれたような心持ちがした...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...よくわかりませぬままに悩み悶えております私の心持ちも...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...心持ち色調を変えてくる...
和辻哲郎 「京の四季」
...故郷に帰ったような心持ちで...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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