...葉子の心持ちを少しも理解していない社会ほど愚かしげな醜いものはなかった...
有島武郎 「或る女」
...自分の住んでいた家を他所(よそ)ながら見て通りたい心持ちになっていたからだった...
有島武郎 「或る女」
...この重い重い責任を思うと五体もすくむような心持ちがする...
伊藤左千夫 「去年」
...自分の地面と隣の地面との間には明らかな境界線を定めておかねば気がすまず、わが国と隣の国との間には溝を掘って境をあきらかにしておかぬと安心ができぬが、この心持ちが、言葉の方面にも働いて一つ一つの言葉の間に繩張りをしておかぬと、観念の整理ができぬごとくに感じ、なにはさておいても言葉の定義を造ることに骨を折るのであろう...
丘浅次郎 「我らの哲学」
...つい自分はあさましい心持ちになって...
辰野隆 「芸術統制是非」
...病人は心持ち好さそうにして...
田中貢太郎 「人面瘡物語」
...何よりもその活(い)き活(い)きとした景気の好い態度(ようす)に蹴落(けおと)されるような心持ちになりながら...
近松秋江 「うつり香」
...私が教えなかった心持ちを読んだような鋭い黒眼をしてにやりにやり笑っていた...
近松秋江 「うつり香」
...何とも云へない不快な心持ちになつて來た...
近松秋江 「湖光島影」
...心細いよりはむしろゆっくり落ちついたような心持ちがした...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...別に叙述しようもない心持ちだからただの厭でとめて置く...
夏目漱石 「坑夫」
...自分の存在を閑却された心持ちになって...
夏目漱石 「三四郎」
...夜はこの二階はいい心持ちです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...自分の心持ちをにおわしてだけでも言うことのできる母というものを玉鬘は持っていなかった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...これらの画の方にはるかに多くその心持ちが現われているのである...
和辻哲郎 「院展遠望」
...それでもって右のような心持ちを表現した...
和辻哲郎 「蝸牛の角」
...人を愛する心持ちがどんなに強く自分の内に起って来ようとも...
和辻哲郎 「自己の肯定と否定と」
...心持ちが全然変わった(随聞記第四)...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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