...こう云う彼の心尽しも悉(ことごとく)水泡に帰したのである...
芥川龍之介 「長江游記」
...私達は早く起きて母の心尽しの朝飯を食つて出かけた...
安倍能成 「初旅の残像」
...昨日のものとは違った服装をさせようという母の心尽しがすぐ知れた...
有島武郎 「クララの出家」
...さらに大きい幸福を何が僕に与えてくれるものか? 君たちの心尽しさえ僕には重荷になるだろう...
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven、フランツ・ゲルハルト・ヴェーゲラー Franz Gerhard Wegeler、エレオノーレ・フォン・ブロイニング Eleonore von Breuning、ロマン・ロラン Romain Rolland 片山敏彦訳 「ベートーヴェンの生涯」
...何故(なぜ)先生は愛妻愛子愛女の心尽しの介抱(かいほう)の中に...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...姉が心尽しの弁当を楽(たの)しく開いた...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...妻の心尽しで、餉台の上には酒の銚子まで並んでいました...
豊島与志雄 「香奠」
...それに伴う心尽しの甲斐でなければなりません...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは女房の心尽しなどに対して余りに無頓着(むとんじゃく)過ぎる比田を一方に置いてこの姉の態度を見ると...
夏目漱石 「道草」
...主人源吉の心尽しでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「さア、私の心尽しです、一献」「有難く頂戴します」佐々村村一は赤酒のコップに波々(なみなみ)と受けて、黙礼をしたまま、それを唇に持って行くのです...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...「有難う……」老枢密顧問官の心尽しへではなく...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...マダム・セレスティンの心尽しの晩餐だ...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...私は井上大使のお心尽しの有難さに思わず泣いて...
三浦環 「お蝶夫人」
...さりながら心尽しの御馳走とはかかるものをやいうならん...
村井弦斎 「食道楽」
...第百九十四 鮎と犢(こうし)鮎の料理は主人が今日の心尽しなり...
村井弦斎 「食道楽」
...しかし今日のは味が格別ですね」お登和「レモンを一滴ほど滴(た)らしてあります」大原「どうも今日は色々お心尽しの御馳走でした...
村井弦斎 「食道楽」
...御心尽しの御饗応(きょうおう)に蘇生の想いを致し候...
山下利三郎 「流転」
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