...彼は続いて去年の暮れのことを思い出した...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...その年の暮れに、遺骨を受領に来いという連絡があった...
梅崎春生 「狂い凧」
...その年の暮れ、三千円というものを費(つか)って新妻を持った...
海野十三 「幸運の黒子」
...昨年の暮れも棚田夫婦は半年も滞在していたと言うのです...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...年の暮れはしだいに近寄って来た...
田山花袋 「田舎教師」
...三たびこのさびしい田舎(いなか)に寒い西風の吹き荒れる年の暮れが来た...
田山花袋 「田舎教師」
...六日――牧野雪子(雪子は昨年の暮れ前橋の判事と結婚せり)より美しき絵葉書の年賀状来(き)たる...
田山花袋 「田舎教師」
...年の暮れでなければそれを見ることが出來なかつた...
田山花袋 「道綱の母」
...須田町(すだちょう)を通って両国橋の方へつづく電車通りにかけて年の暮れに押し迫った人の往来(ゆきき)忙しく...
近松秋江 「うつり香」
...去年の暮れ近いころからジョンの家の門口でまた若い婦人が時々張り物をしたりバケツをさげたりしているのを見かけるようになった...
寺田寅彦 「柿の種」
...卿(おまえ)も知っとるはずじゃが、あの知事の東郷(とうごう)、な、卿(おまえ)がよくけんかをしたあの児(こ)の母御(かさま)な、どうかい、あの母(ひと)が肺病で死んでの、一昨年(おととし)の四月じゃったが、その年の暮れに、どうかい、東郷さんもやっぱい肺病で死んで、ええかい、それからあの息子(むすこ)さん――どこかの技師をしとったそうじゃがの――もやっぱい肺病でこのあいだ亡くなッた、な...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...年の暮れ以上に悲愴なものがあるではないか...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...その一――或年の暮れ...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...昨年の暮れから今年の春にかけて...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...昨年の暮れから世間を騒がせていた三万円の拐帯(かいたい)犯人なんです」キャラコさんは...
久生十蘭 「キャラコさん」
...前の年の暮れあたりから...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...女はその年の暮れには健康恢復(かいふく)して再び宝塚へ帰ってきたが...
正岡容 「わが寄席青春録」
...平和問題懇談会が結成されたのは同じ年の暮れであったと思うが...
和辻哲郎 「非名誉教授の弁」
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