...併し少しく熟慮すればそれは何の不思議でもない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...胸のあたり少しく薄黄色なり...
井上円了 「おばけの正体」
...あるいは道路面から少しく爪下りぐらいの店が...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...少しく其形跡を求めて...
高木敏雄 「比較神話学」
...この身仕度は少しく苦笑の仕草に似たれども、老生の上顎は御承知の如く総入歯にて、之を作るに二箇月の時日と三百円の大金を掛申候ものに御座候えば、ただいま松の木の怪腕と格闘して破損などの憂目を見てはたまらぬという冷静の思慮を以てまず入歯をはずし路傍に安置仕り候ものにて、さて、目前の大剛を見上げ、汝はこのごろ生意気なり、隣組は仲良くすべきものなり、人のあらばかり捜して嘲笑せんとの心掛は下品尾籠(びろう)の極度なり、よしよし今宵は天に代りて汝を、などと申述べ候も、入歯をはずし申候ゆえ、発音いちじるしく明瞭を欠き、われながらいやになり、今は之まで、と腕を伸ばして、老画伯の赤銅色に輝く左頬をパンパンパンと三つ殴(なぐ)り候えども、画伯はあっけにとられたる表情にて、口を少しくあけ、ぼんやりつっ立っているばかりに御座候...
太宰治 「花吹雪」
...少しく彼に就(つ)いて語らしめよ...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...唯だ朝比奈氏は二宮氏に比して少しく温和にして變通あるを異りとするのみ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...我輩少しく次に其の性格を説かざる可からず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...崖にのぼる道が少しく先方にありまして...
豊島与志雄 「崖下の池」
...低級な私小説はともかく、高級な私小説に於ては、嘗て人生記録が尊重されたように、少しく改名して、人間記録が尊重されるかも知れない...
豊島与志雄 「文学に於ける構想力」
...山崎譲というものが尋ねて来たと聞いて少しく狼狽(ろうばい)しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...少しく画談を試みているうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...この茶店は少しく勾配ある土地...
長塚節 「竹の里人〔三〕」
...請う少しくその理由を説かん...
日野強 「新疆所感」
...苞状をなした一空頴は小穂より少しく長く...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...首は死人同樣に少しく横に肩の上に傾いて居る...
松本文三郎 「印度の聖人」
...是れから少しく自分の意見を述べようと思ひます...
森鴎外 「假名遣意見」
...少しく丁寧に書かれた字体はやや肉太で温容を加え...
山本笑月 「明治世相百話」
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