...夜更けて乗る市内の電車でも...
芥川龍之介 「妖婆」
...まだ夜更けというでもないのに...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...寝棺は階下の広い日本間に安置され、香華(こうげ)をたむけ、夜更けるまで、家族や弔問客の読経(どきょう)の声が絶えなかったが、十二時前後、それらの人々も或は帰り去り、或は寝(しん)につき、電燈を消した真暗な広い部屋に、ただ老人の死骸だけがとり残された...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...もう夜更けだったが...
大杉栄 「日本脱出記」
...夜更けまで、舌なめずりしながら、酒を飲んで居る人達の真赤な顔が、私には絵草紙で見る鬼の通りに見えた...
永井荷風 「狐」
...「強(し)いてお尋ねは致さぬが、夜更けのこと故、そこらあたりまでお送り申しましょう」「御親切に有難うございますが、屋敷には、ちと憚(はばか)ることがござりまする故、どうぞ、このままでお見逃し下さいませ」その時に、向うの屋敷道に小さく提灯(ちょうちん)の火影(ほかげ)が現われ、話をしながら二三の人が、こちらへ向いて歩いて来るようです...
中里介山 「大菩薩峠」
...未だ曾(かつ)てこの夜更けに...
中里介山 「大菩薩峠」
...たぶん夜更けまで止められて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...泥棒道具を持って夜更けに歩くのは骨が折れるだろう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...母と夜更けの浜へ涼みに行き...
林芙美子 「新版 放浪記」
...夜更けの一時過ぎ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...夜更けなどに屡(しばしば)あの方が私の家の前をお通りすぎなさるらしいのが...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...それにしても私のあの抜萃書は何処に埋もれてゐるのかしら? 真夏の夜更け...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...その夜更け、今松は、ドロンをした三もうそろそろ寒い風の吹きつけてくる海岸づたいに、小田原さして今松は、夜道をかけた...
正岡容 「寄席」
...自家(うち)に戻って来るだろうという推量――夜更けの裏通りで...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...夜更けてまた二度目の作物を朗読した...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...どんなに夜更けても...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...明日の夜泊る丸沼の番人への土産でもあり自分の飮み代でもある酒を買つて來て貰ふことを昨夜更けてから宿の主人に頼んだのであつたが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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