...わが君様の教授会に於ける器量の如何によって...
戸坂潤 「社会時評」
...お君と並ぶようにして席を取って、馬場の人出を見渡したお松は、桟敷の方に目を注いでいるうちに何かに驚かされて、ただならぬ色を現わし、「お君様、この御簾(みす)を少し下げようではありませんか」総(ふさ)で絞った幕の背後に御簾を高く捲き上げられてあったのを、お君は今まで気がつきませんでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...だから改めて坐り直す時に、わざと身を以てお君の前へ坐って隠すようにしながら、「お君様、あれに、わたくしどもの主人が」と言って、そっと前の桟敷を指して示しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...あのお方がそれでございましょう」と番組と人とをお松は見比べながら、「第二番は能登守様の御家来で小川様……」と言って、番組と人とをまた引合せながら、「お君様、あなたの殿様からおいでなされたお方は、まだ若いお方でございますね」お松の蔭に隠れるようにしていたお君は、小さい声で、「主人のお小姓でございます」と言っている時に、その人は桟敷の下へ来て綾藺笠(あやいがさ)を振りかたげて桟敷の上を見上げました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「お君様」「はい」「あなた様のお家のお方は...
中里介山 「大菩薩峠」
...お君様は亡くなりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...お君様は亡くなりましたけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...お君様のくれぐれの遺言もございますから...
中里介山 「大菩薩峠」
...学問の考えは、深ければ深いほど落着くが、人情の考えというものは、深ければ深いほど乱れてくるものだ」「では、殿様には、何かお心を乱すような人情の思い出が、お有りあそばしますか」「有るとも、大有りだ」「伺いとうございますね」「言わん方がいいだろう、言えばいや増す思いというものだからな」「では、わたくしが代って申し上げてみましょうか、お君様のことを、お思い出しになったのでございましょう……」「うむ……いや、違う、あれはもう忌明(いみあけ)だ、思い出せば不憫(ふびん)と思いやられぬことはないが、いつまでも愛惜(あいじゃく)を追うのは、それ、冥路(よみじ)のさわりというものでな、今では、さっぱりとあきらめている、いまさら思い出して、心を傷(いた)ましむるということもないのだ」「では、奥方様のことを……」「いや、あれは愛情がない、権式があるばかりだ、正直に言うと、結婚以前から冷たいもので、今もその通り」「では、どなたのことを思い出しておいでになったのでございますか」「実はな、お松どの、君のことを考えて、つい思いに沈んでしまったのだ」「まあ、勿体(もったい)ない」と言って、お松がまたも真紅になって、うろたえる心を抑(おさ)えることができないほどです...
中里介山 「大菩薩峠」
...「有難(ありがと)う御座います、姫君様、村松金之助生まれて始めての生き甲斐で御座います」村松金之助は、木戸の柱に縋(すが)り付いたまま、命を絞るような涙を流しているのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...「若君様には、とにもかくにも、裏門外の川岸にお立退(たちの)きを願います...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...我参る度々に嬉しげにもてなして帰らんといへば今しばし/\君様と一夕の物語には積日の苦をも忘るるものを...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...平家の君様達と承りますれば...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...大姫君は中の君様をお望みになればとそう希(ねが)っていらっしゃるらしゅうございます...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...別而尊君様御方々御愁傷之程如何計歟御察し奉申上候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...お妹君様もお行方を案じて...
吉川英治 「剣難女難」
...――わしは、あの君様を、お乳(ち)の頃からお抱き申し上げ、わが子のお前たちよりも多く、この手に抱いて、お育てして来た...
吉川英治 「新書太閤記」
...わたくしが兄君様から...
吉川英治 「日本名婦伝」
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