...しかもそはひとり名のみの愛ではない...
W・S・モーゼス William Stainton Moses 浅野和三郎訳 「霊訓」
...が、硯(すずり)も机も埃(ほこり)だらけ、炉とは名のみの、炬燵(こたつ)の藻抜け、吸殻ばかりで、火の気もない...
泉鏡花 「薄紅梅」
...春とはいへど名のみにて...
巌谷小波 「こがね丸」
...瀧口入道、横笛が墓に來て見れば、墓とは名のみ、小高く盛(も)りし土饅頭(どまんぢゆう)の上に一片の卒塔婆を立てしのみ...
高山樗牛 「瀧口入道」
...結婚しても公爵夫人とは名のみで...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...槍先(やりさき)の功名のみならず...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...島田藤枝(ふじえだ)など云う名のみ耳に残れるくらいなれば覚束(おぼつか)なし...
寺田寅彦 「東上記」
...書名のみが殘り本文は削られたのであらうといふ人もあるが...
内藤湖南 「支那目録學」
...書名のみを見て内容を見ずに目録を作るものがあり...
内藤湖南 「支那目録學」
...かうすれば姓名のみを書けばよいから手數が省ける...
内藤湖南 「支那目録學」
...日本に於ける文明の利器は唯名のみにして実は不便この上なきものなり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...この辺が海であったのは、遠い昔のことで、鳴海は名のみ、今は鳴らずの海だという...
中里介山 「大菩薩峠」
...五万円の遺産分配――それは名のみ...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...名のみの夫婦である...
森鴎外 「渋江抽斎」
...最も広い区域を覆(おお)う一つのニホまたはミョウ等々という名のみが...
柳田国男 「海上の道」
...たゞ名のみの本願寺となることにより...
吉川英治 「折々の記」
...悪名のみを刻みこんで...
吉川英治 「私本太平記」
...湯はその二軒の間の渓ばたに僅かに屋根といい壁という名のみのものを持った浴場の中に湧き...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索