...「どうだね、お前にゃ見覚えはねえかい」女房はそわそわと落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切(しき)りに思い出そうとしていたが、出し抜けに、囁くような声でこう云った...
モオパッサン 秋田滋訳 「親ごころ」
...出し抜けになぞ見たようで?」「なアに...
岩野泡鳴 「耽溺」
...相手は出し抜けに...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...この土地をひそかに逃げ出しては下さらぬか」「まァ何という出し抜けの縁談であろう」「それがいやとなら...
江見水蔭 「壁の眼の怪」
...何分とも出し抜けで...
高見順 「如何なる星の下に」
...ほとんど戦々兢々(せんせんきょうきょう)たる態度で私たちに望むから、どうしたのかと思っていると、やがて、出し抜けに、日露戦争に勝ってくれてまことに有難いという...
谷譲次 「踊る地平線」
...僕はあなたが今日出し抜けに此処へおいでになった理由も...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...……なんだか出し抜けのように聞えはしなかったかしら? いまだに私の耳のなかで...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...出し抜けに黙りこくってしまい...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「唇のねじれた男」
...成る程、油断できぬわい」「それで、手間取ったのか」「いいや、遅参致したのは――つい先刻、出し抜けに、四ツ本が参って、手籠めにして、道具諸共、御門外追放じゃ」「三日の間と、申すでないか」「それが、急に、今日中に、出て行けと、足軽の十人も引連れて来たが――」「無体なことをするのう」「だから、軽挙ができぬ...
直木三十五 「南国太平記」
...どうしても狂印(きじるし)だね」「どうかしたのかい」「そんなに可愛(かわい)いなら、仏様の前で、いっしょに寝ようって、出し抜けに、泰安(たいあん)さんの頸(くび)っ玉(たま)へかじりついたんでさあ」「へええ」「面喰(めんくら)ったなあ、泰安さ...
夏目漱石 「草枕」
...私を出し抜けに相手にする奴があった...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...出し抜けに情熱的に言ってみた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...どうだろうか知ら」姉が出し抜けにそんな事を口にした...
堀辰雄 「姨捨」
...あなたが出し抜けにわたくしの側へ現れておいでなすったのですね...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「辻馬車」
...そのうち出し抜けに荒々しい谷の穴へ落ちて見えなくなった...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...出し抜けに来やがって...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...「妾……幸せね」「出し抜けに何を言い出すんだ? あ……そうか...
山中貞雄 「森の石松」
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