...渡瀬さんも日ごろの渡瀬さんに似合わず...
有島武郎 「星座」
...年にも似合わず、人の欠点を横からにらんでいて、自分の気に食わないことがあると、何も言わないで、親にでも強く当る...
岩野泡鳴 「耽溺」
...憲兵隊の応援を申請(しんせい)しようと思うんだが……」検事の言葉はいつに似合わず針のように鋭かった...
海野十三 「恐怖の口笛」
...「あのかたは若いに似合わず...
ストックトン Francis Richard Stockton 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...そのようすは年に似合わずいかにも元気に見なされた...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...おとしに似合わず...
太宰治 「斜陽」
...君子の道を学んだ者にも似合わず...
太宰治 「竹青」
...それにも似合わず...
田山花袋 「少女病」
...彼女は客商売をしたに似合わず...
徳田秋声 「縮図」
...それよりか藤尾さんに上げる方が好(よ)ござんすよ」「御前は女に似合わず気前が好いね...
夏目漱石 「虞美人草」
...迷亭に似合わずしきりに案内を頼んでいる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...お直を呼んでくれ」「合点」八五郎は柄に似合わず軽快に飛んで行くとまもなく妾のお直を伴(つ)れて――いや...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...母は年寄にも似合わず...
三浦環 「お蝶夫人」
...年に似合わず親切には感心します...
三宅花圃 「藪の鶯」
...頸(くび)は顔色の浅ぐろいのに似合わず...
室生犀星 「三階の家」
...「そこで聞くのだけれども、いったいこのお方を、どうしておまえたちが」「それなんですよ」銀太が待兼ねていたように、「今日あっしと金太で客を浜町まで送っていったんで、こう降っちゃあやりきれねえ、稼(かせ)ぎより躯(からだ)のこったと、帰るつもりで河岸(かし)っぷちをやって来ますとね、両国橋のまん中にこの人が立ってるんで」「橋のまん中、……両国橋の」「側に橋番の爺がいましたよ、聞いてみると橋銭(はしせん)が無いのに、平気でずんずん、悠々と渡ってゆくってんで」「悠々と、へええ、生れが違うんだな」「もう平気の平左でね、まるっきり大名の若殿みてえなんだそうでね、あっしと金太も見るとこの通りの御人品、こいつあお気の毒だ、なにか深いわけのあるお方だろうと思ったもんだから、ともかくもてんで橋銭を立替えましてね、聞くてえとまるっきり世間知らず、てんで下情てえものに通じていらっしゃらねえんで、……なんだ金太、おめえ笑ってるばあいじゃあねえだろう」「む、むせ、咽(む)せちゃったんだよ、うん、咽せてね、なにしろ、お気の毒なもんだから」「そういうわけでまあ金太とも相談したところ、よしんばどんな深いわけがあるにしろ、こんな御身分の高いらしい方を、……おめえまた咽せるのか金太、……でまあ御身分の高い方をうろうろおさせ申しとくのは恐れ多い、なにはともあれ家へお供をしてということでね、それで実はお伴(つ)れ申したというわけなんですが」「それはそれは、稼業に似合わず、よくそんなところへ気がついた、それでと」吾助はここで初めてその若者のほうへ向き直った、「そこでひとつ、儂はこの長屋の家主で吾助という者ですが、……お初におめにかかります」「ああそうだろう、一文呉れるか」「ちょちょ、えへん」銀太はすばやく若者の尻をつねった...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...あの娘も附けてやっていいから是非どうか一つ請合って下さい」てんで見かけに似合わずペコペコ頭を下げて頼むんです...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...体躯に似合わず蚊の鳴くような声だ...
横光利一 「欧洲紀行」
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