...未(いま)だ靜まらぬ潮騷(しほざゐ)の亂るる如く...
ポオル・クロオデル Paul Claudel 上田敏訳 「頌歌」
...淡きこと水の如きは大人の心か、昔の仇を夢と見て、今の現(うつゝ)に報いんともせず、恨みず、亂れず、光風霽月の雅量は、流石は世を觀じたる瀧口入道なり...
高山樗牛 「瀧口入道」
...そのふたりが咲き亂れたライラツクの花の下で最初の接吻を交したペエジに私の枯葉の枝折をはさんでおいたのだ...
太宰治 「思ひ出」
...その今の痩せ衰へた顏は! 連日の苦痛にもがいた姿は! 絶えず體を動かすためにばらばらに亂れた髮は! あれが母だらうか...
田山花袋 「道綱の母」
...聞(き)けば必然(きっと)狂亂(きちがひ)になるといふ彼(あの)曼陀羅華(まんだらげ)を根(ね)びくやうな...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...縱横無碍にアカイアの軍を亂して其槍をやすむる隙はしばしのみ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...天より降る*雪片の亂れて飛びて舞ふ如く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...併し双方共に自然主義といふ者を背徳亂倫の辯護者と見肉情の挑發を以て目的として居る事と見る点に於て一致して居る...
朝永三十郎 「懷疑思潮に付て」
...伊作は古革の大胴亂で幾ら煙草を吸つて見ても名案は出ない...
長塚節 「芋掘り」
...「いや御覽(ごらん)の如(ごと)く亂雜(らんざつ)な有樣(ありさま)で」と言譯(いひわけ)らしい返事(へんじ)をしたが...
夏目漱石 「門」
...竹田人形は小栗判官照手姫(てるてひめ)十二段返し、わけても照手姫の松葉燻(いぶ)しが良い出來で、梁(はり)に吊られた照手姫の、苦痛に歪む姿態の惱ましさ、白い脛と赤い裳(もすそ)に、メラ/\と絡みさうになる仕掛の焔の凄まじさ、亂れ/\た髮、蒼白い――が妙に人を牽付(ひきつ)ける顏、乳の上で絞つた荒繩など、極めて變態的ながら、たとへやうもない艶美なものだつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ひどく取り亂したまゝで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私は」お品は取亂した樣子が耻かしくなつた樣子で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...軍隊の規律は亂れはじめてくる...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...異常な報らせにかき亂された穩(おだ)やかな心の驚きを表はしてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...そんな亂暴な着方をしては臺なしになつてしまふだらうに...
牧野信一 「痴日」
...いつもより少し窮窟な感じがしただけで氣持ちは少しも亂れなかつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...提琴彈きは行列の先頭に立つてゐたが、風に亂されて、めちやくちやに彈いてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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