...それは倅の吸ひ殻を丹念に集めて来たものだつた...
芥川龍之介 「一塊の土」
...君は丹念に鉛筆を削り上げた...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...お通は昨日の道筋をさらに丹念に探してから駐在所の方へ急いだ...
犬田卯 「錦紗」
...丹念に下駄(げた)で蹈(ふ)み殺した...
谷崎潤一郎 「細雪」
...和尚さんはそばで桑切り庖丁で丹念に細く刻(きざ)む...
田山花袋 「田舎教師」
...浅黄の股引(ももひき)の膝当のついたのを丹念にはき...
中里介山 「大菩薩峠」
...その小さい實を丹念に口の中へ滑り込ましてゐた...
堀辰雄 「聖家族」
...こんどは一つ一つ丹念にそれを見はじめている僕をそこに残して...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...「お客人はどなたかな?」あしゆびの股(また)を丹念に拭(ふ)きこみながら彼は重ねて云った...
本庄陸男 「石狩川」
...丹念に檢分してゐた爛目(たゞれめ)のおやぢは...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...始めから終まで丹念に読むのが楽(たのし)みのひとつで...
水上滝太郎 「果樹」
...数年前に丹念に読んでいろいろ書き入れまでもした書物を...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...緊張に顔を真赤にして新聞をくりかえし丹念にながめまわした...
山川方夫 「演技の果て」
...一つ一つ丹念に噛み味わいながら...
山本周五郎 「青べか物語」
...飯篠老人は丹念に吊りぐあいを調べたのち...
山本周五郎 「似而非物語」
...他人から云いかけられた言葉をいつまでもいつまでも丹念に記憶している癖があった...
夢野久作 「殺人迷路」
...丹念に見ていたが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...これは石経の断片的な残字から丹念に碑面の文章を復元し...
和辻哲郎 「孔子」
便利!手書き漢字入力検索