...一方では夫人の安否が気遣われたが、又一方では、この間の晩の出し抜かれた気持を思い出すと、そうして心配しているのが馬鹿馬鹿しい様でもあった...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...それから一方では...
鈴木三重吉 「古事記物語」
...しかし一方では南部氏の分れであるといひ...
太宰治 「津軽」
...一方では社会の欠陥...
田山録弥 「三月の創作」
...さうかと思ふと、一方では、『何うも、これは実際ぢやありませんな...
田山録弥 「不思議な鳥」
...一方ではレニングラードからランゲル島へかけベーリング海近くまでも飛行機を飛ばし空中写真測量で北シベリアいったいの地図を作る事になっている...
寺田寅彦 「北氷洋の氷の割れる音」
...一方では頭の型を取られ...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...一方では、エミル・オージエの劇のように、通俗的な写実主義をもって、リヤ王を演じていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...また一方では何かに縋りつきたいような...
豊島与志雄 「二つの途」
...一方では急込(せきこ)んだお時が...
夏目漱石 「明暗」
...尤も、一方では、永井家縁故の同志を集め、素讀の稽古と振れ込んで、毎日地下に穴を掘り續け、あと一兩日で、圍の下に掘り拔くといふ時、その八五郎とやらが弟子入りをして來たのだ――それをどう始末してよいものか、平次、お前の思案ならどうだ」皆川半之丞の頬には苦笑ひが淀(よど)みます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...しかし一方では、在不在、遠近にかかわらず、同様の時間に同様の変化の発生を知ることを、他の実例中にも見慣れている...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...萬葉びとがこれらの村や山々に彼等の謂はば前宗教的(pre-religious)な生活を托しながら小さな喜びや悲しみを歌ひ續けてゐた間に、一方では既に、今日もなほ殘つてゐるかういふ大きな寺が建立され、大きな佛たちが製作せられてゐたのだといふことは不思議な心もちがしてならなかつた...
堀辰雄 「黒髮山」
...それにもかかわらず一方では...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一方では理想が実現された気になって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...死を願うことは重罪にあたることであると一方では思いながらも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一方では解(げ)せないというような不統一なものではなかった...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...それは一方では罹災者(りさいしゃ)の苦しみへの同情である...
和辻哲郎 「地異印象記」
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