...衣食住にあんな贅沢を尽しながら一方では貯金をするなんて云うことが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...一方では史家によってその取扱う主題に適否があると共に...
津田左右吉 「歴史の矛盾性」
...ちょっと外側から見ると恐ろしく窮屈そうに見えるような天地に居て、そうして実は、最も自由に天馬のごとく飛翔しているような人も稀にはあるようであり、一方ではまた、最も自由な大海に住みながら、求めて一塊の岩礁に膠着(こうちゃく)して常に不自由を喞(かこ)つ人も稀にはあることはあるように思われる...
寺田寅彦 「学問の自由」
...裏十二の中に月と花が一つずつあってこの一楽章に複雑な美しさを与える一方ではまたあまりに放恣(ほうし)な運動をしないような規律を制定している...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...一方では「伴大納言繪詞」から「八犬傳稿本」までまつすぐにきて...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...一方では腹立たしさと後悔の念が...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...その大部分は、パリーの塋窟(カタコンブ)の上手のぐらぐらした小さな家――モンパルナス大通り一六二番地――で書かれたのであって、その家は、一方では、重々しい馬車や都会のたえざるどよめきに揺られていたが、他の一方には、饒舌(じょうぜつ)な雀(すずめ)や喉(のど)を鳴らす山鳩(やまばと)や美声の鶫(つぐみ)が群がってる古木のある、古い修道院の庭の、日の照り渡った静寂さがたたえていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...一方では情婦(いろおんな)をこしらえて...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...「どうしてそれがあり得ないのだろう?」また一方ではこういう想念も浮んで来ました...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...一方では老人と彼女は...
橋本五郎 「地図にない街」
...その一方ではまた...
堀辰雄 「美しい村」
...でも一方では自分の武器でこの男と十二分に戦える...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...即ち一方では、人間は眞理としての神に等しいから彼にとつて認識は可能である...
三木清 「認識論」
...そして一方では仏弟子(ぶつでし)として感心に修行も積んでいるようです...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一方では源氏の出て来るのを待っていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...また一方では建物のまわりに...
山本周五郎 「さぶ」
...一方では妻の吝嗇と嘘つきと口やかましいのにあいそをつかしていた...
山本周五郎 「泥棒と若殿」
...一方では、大月玄蕃の陥し穴に墜ちた春日重蔵が、二人の強剣に挟まれた形となって、まさに火を降らしての苦闘の最中であった...
吉川英治 「剣難女難」
便利!手書き漢字入力検索