...時というものをゆるゆるすり減らすやすりのように日がな日ねもす聞こえていた...
有島武郎 「或る女」
...鉄の格子(こうし)をやすりで切ってだすというところでしょう...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「幸福のうわおいぐつ」
...削りかけの鑪(やすり)の目の立ったるあり...
泉鏡花 「悪獣篇」
...槌(つち)に鑢(やすり)の音(ね)もかすれ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...この角をなくするために鑢(やすり)というものがあるが...
海野十三 「白銅貨の効用」
...鑢(やすり)の様に骨をこすった...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...ところが、トゥロットはごうもん部屋のやうな、こはい手術室から、いやなにほひがぷんと鼻に来ると、そして、お医者さんや、おほきなひぢかけいすや、はがねの道具や、車、ピンセット、やすりなぞ、さういふいろんなものを見ると、死にものぐるひで、こゞまりちゞみ、小さなロバのやうに、メー/\なきはじめました...
鈴木三重吉 「青い顔かけの勇士」
...前夜隣室の羽目の隙間から手に入れた鑢様(やすりよう)のものであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...*鑢(やすり)の音よ...
中原中也 「在りし日の歌」
...やすりと小刀と襟飾が一つ落ちていたりする実験室内の何でもない景色の叙述にも妙に心が惹かれるのである...
中谷宇吉郎 「「光線の圧力」の話」
...やすりの響は絶えず中庭の一隅に聞える...
夏目漱石 「幻影の盾」
...鑢(やすり)一梃の根(こん)仕事だから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...時計一つ鑢(やすり)で刻み出すのに人間の力を二年かけなければならぬとは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いつも使う鑢(やすり)がふと見あたらなくなった...
原民喜 「遥かな旅」
...鑢(やすり)だの錐(きり)だのといったような小道具は一つも使わないで...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...鋸(のこぎり)鑢(やすり)ばかりは六(むず)かしい...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...小僧が鋸(のこぎり)の鑢(やすり)の目を叩(たたい)て居る...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...もしくは本物のタイプライターや爪鑢(つめやすり)なぞを提(さ)げて...
夢野久作 「奥様探偵術」
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