...畷(なわた)のほの白いのを蹈(ふ)むともなしに...
泉鏡花 「遺稿」
...ほの白い鏡の表の出来事とが...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...倒れ重なつた死木や死にかけた樹の下は沼地で、腐つた落葉の中から、ほの白い幽靈草、草とも木の實ともつかないやうな形をした突羽根草、さまざまの色の名の知れない菌が一面に生えて、樹の間を漏れる青い光を魔法にかからせて居ります...
江南文三 「佐渡が島から」
...その片方の手には何か小さいほの白い棒のようなものを持っていた...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「情鬼」
...ほの白い人の顔の出没に接しても...
太宰治 「春の盗賊」
...このほの白い暁の空気...
田山録弥 「浴室」
...薄暗いなかにほの白いその顔が見えた...
徳田秋声 「挿話」
...ほの白い煙(けむり)を(あ)げ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...ほの白いあごを襟にうづめて脣の片端が思ひ出し笑ひに捩(よ)ぢれてゐます...
富永太郎 「癲狂院外景」
...枕頭の煤けた櫺子窓からほの白い夜明けの光りが射込むのを見ながら...
豊島与志雄 「少年の死」
...雲のうちにはほの白い明るみがあった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...頬にまつわりつくほの白い湯気だけが...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...黎明のほの白いひかりと...
久生十蘭 「金狼」
...一本のロープによってほの白い文字盤の上にブラリと懸垂し...
久生十蘭 「魔都」
...ほの白い絹のような光沢が...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...どんどん黒い松の林の中を通ってそれからほの白い牧場の〔柵〕をまはってさっきの入口から暗い牛舎の前へまた来ました...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...まだ川靄(かわもや)もほの白いうちに...
吉川英治 「新・水滸伝」
...ほの白い湯気の内にほんのりと浮き出ている...
和辻哲郎 「院展遠望」
便利!手書き漢字入力検索