...千引(ちびき)の巌にも劣るまじい大の体をかがめながら...
芥川龍之介 「きりしとほろ上人伝」
...それから……」譚は上脣(うわくちびる)を嘗(な)めながら...
芥川龍之介 「湖南の扇」
...糊(のり)のように粘ったものが唇(くちびる)の合せ目をとじ付けていた...
有島武郎 「カインの末裔」
...でも玉太郎はくちびるをはなさなかった...
海野十三 「恐竜島」
...弾力のある紅い口唇(くちびる)を軽くひらいて眠っていた...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...でもまだ脣(くちびる)の色はなかったが...
江戸川乱歩 「赤い部屋」
...脣(くちびる)の厚い...
江戸川乱歩 「踊る一寸法師」
...ちびあるが爲めに滑かに運んでゐた機關が忽ち又以前の如く大故障を生じさうに見えて安き心も無かつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...おそろしく不器用に唇(くちびる)をジナイーダの指に触(ふ)れたので...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...父はきげんのよくない時総入れ歯を舌ではずしてくちびるの間に突き出したり引っ込ませたりする癖があった...
寺田寅彦 「自由画稿」
...それでも彼女の若くて淋(さむ)しい唇(くちびる)には冷かな笑の影が...
夏目漱石 「行人」
...どこの国に甥(おい)を憎(にく)む叔父があるかい」市蔵はこの言葉を聞くや否やたちまち薄い唇(くちびる)を反(そ)らして淋(さみ)しく笑った...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...こんな恐ろしい破局(カタストロフイー)にまで導(みちび)いてしまつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...佐太郎の方でも一時は父親を自殺に導(みちび)いた錢形平次を怨(うら)みましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...なるほど遠くから見ると虔十は口の横わきを掻(か)いてゐるか或(ある)いは欠伸(あくび)でもしてゐるかのやうに見えましたが近くではもちろん笑ってゐる息の音も聞えましたし唇(くちびる)がピクピク動いてゐるのもわかりましたから子供らはやっぱりそれもばかにして笑ひました...
宮沢賢治 「虔十公園林」
...日を定めて市日(いちび)が立ちますが...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...唇(くちびる)の先が髭(ひげ)にさわった...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
...ちびちび飲んでいるのが面倒になって...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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